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九月 兼題は「赤蜻蛉」

2023年09月20日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第百八号(令和五年九月) 

今年は例年になく残暑が厳しく、九月に入っても一向に収まる気配がない。日野浦剛さんの『イラストレーション作品展』の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、欠席投句の四名を含めて十二名となった。

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(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
   (兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記) 
 


兼題 「赤蜻蛉」  
    
はろばろと風土記の丘に赤とんぼ  ねむ女
○空間に炎の破片赤蜻蛉  斑猫
飛んできて止まっては飛ぶ赤蜻蛉  進
○サカスタの屋根現れて赤とんぼ  六星
駅舎から視線の先に赤蜻蛉  厚子
稲の穂の色づく毎に赤とんぼ  麦
◎赤とんぼカーブミラーで立ち止まり  風外
ひんがしの文をもてこよ赤蜻蛉  七軒
赤とんぼ群れて飛び交ふ無人駅  走波
日の当たる方へと群るる赤とんぼ  茂樹
お前にも危険な暑さ赤とんぼ  彩鳥
赤蜻蛉交尾のままに飛びゆきぬ  たつみ
     

当季雑詠

故郷はひがな磯ひよどり鳴けり  ねむ女
友と来て秋の雷雨や中之島  ねむ女
稲妻に混沌煮おり魔女三人  斑猫
ユリシーズ女読みつつ野分立つ  斑猫
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句づくりに脇に酒置き夜食かな  進
松蟲や窓枠つかむ長き足  進
渺渺(びょうびょう)とモンゴル流る天の川  六星
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photo by Tatsuya Okabayashi in Mongolia 2023

ばあちゃんの朝イチヂクの木の匂い  六星
◎秋晴れや航跡雲の一文字  厚子
待宵の月も楽しやあれやアレ  厚子
卵2コ借りて朝餉の若冲忌  麦
虫が鳴く腹が減ったか恋歌か  風外
メダカの子秋には孫が生まれたり  風外
根のにほひ土のにほひの秋出水  七軒
月光を集めて青き湯を飲まん  七軒
昼の月何かいい事ありそうな  走波
○ポン菓子のはじける音や秋祭  走波
ツーリングバイク風切る秋日和  茂樹
古本の頁を開き秋の蠅  茂樹
曼殊沙華正確無比の体内時計  彩鳥
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こんな日が来るとは秋刀魚高級魚  彩鳥
蟷螂としばし遊びぬ日暮れ時  たつみ
ちちははの声は聞こえず法師蝉  たつみ

 
(句会寸描)

*兼題は、風外さんが一位となった。雑詠は、一歩抜け出し、厚子さんが一位となった。今回は兼題・雑詠共、選句に苦労するほど秀逸な句が多かった。                        
                               
*兼題 「赤蜻蛉」

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◎赤とんぼカーブミラーで立ち止まり  風外
「赤とんぼ」を擬人化しているところが、ユーモラス。人なら山や空などが「カーブミラー」に映って見えるが、「赤とんぼ」にはどのように映って何を感じているのか、興味深い。案外、自分が映っている姿に驚いているのかもしれない。

○空間に炎の破片赤蜻蛉  斑猫
中七の「炎の破片」に詩情がある。物理学者のような目で見ているところも面白い。たくさんの「赤蜻蛉」が乱舞している様子がうかがえる。

○サカスタの屋根現れて赤とんぼ  六星
今建設中の新サッカースタジアムである。「サカスタ」の略字が少し気になるが、「屋根現れて」に完成に近づいている実感があらわれている。「赤とんぼ」の姿もほのぼのとして見える。

*当季雑詠

◎秋晴れや航跡雲の一文字  厚子
単純に飛行機雲ではなく「航跡雲」としたところが素晴らしい。「航跡雲」は、より確かな表現であり、飛行機ばかりでなく、航跡から連想して船まで思い浮かべられる。
                          
○ポン菓子のはじける音や秋祭  走波
コロナ禍も落ち着き、久しぶりの「秋祭」である。少し昭和へタイムスリップした感じもする。懐かしさも手伝って、集まった親子の喜びもはじけているような雰囲気がある。

                            
*次回予定

日時 十月一日(日)十八時〜二十時 
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「九月尽」一句と当季雑詠を二句

   (茂樹 記)

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