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四月の句会 「花一切」

2023年04月12日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報 第百三号(令和五年四月)

穏やかによく晴れて、絶好のお花見日和となった。沓内芙佐子さんの個展『沓内芙佐子作品展』の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、欠席投句の八名を含めて十六名となった。

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(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
   (兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記) 



兼題 「花一切」

淡桃に枝樹を飾る花手毬  彩鳥
山門の内は枝垂るる花の雨  ねむ女
思索への道を彩る桜かな  右京
儚くも散り際決めし花の雨  厚子
弁当がひらり桜の着地点  走波
花冷えや呼び込みの声空に消え  朋子
百年をかけて桜の翁かな  たつみ
山肌に散りばめられし桜かな  進
○桜降る星降る地球の上に居る  六星
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庭池にどこから来たか花ひとつ  風外
幹二本折れてなけれど花の昼  七軒
花筏数多浮かべる貯水槽  茂樹
○ヒロシマの川べりの花的礫たる  麦
一斉に人戻り来て花月夜  えこ
花曇心の様をみすかして  愛幸
◎フィボナッチ数列に散る八重桜  斑猫

 
当季雑詠

目の先の馬酔木の花は鹿シカト  彩鳥
桜まじはらはら降らす溶けぬ雪  彩鳥
野にありて誰(たれ)おはします仏の座  ねむ女
春の風ふたごの女児の生まれけり  ねむ女
足下に蜥蜴出づ音響く朝  右京
春コート脱ぎて靴音弾む君  右京
花冷えの夜に珈琲の香り立つ  厚子
現れて鳴きつ子猫のいのち燃ゆ  厚子
ワンルームマンションの灯や春霖雨  走波
花冷えや山本川の終わるとこ  走波
うららかや吾子と包める水餃子  朋子
航海の背を押す東風や岸はるか  朋子
白(はく)木蓮(れん)の下に佇む美少年  たつみ
教科書とノートが残り春の塵  たつみ
わが犬の背にも舞い散る花吹雪  進
見上げれば盛りを過ぎた玉椿  進
不登校卒業の朝晴れた空  六星
蕗の薹いつから美味くなったやら  六星
葉の色が食べたくなるよ山桜  風外
みつまたの丸き花達モダンなり  風外
川下に蝶は黄色になつて行く  七軒
昆虫の足は届かずつばくらめ  七軒
大空を斜めに進む初つばめ  茂樹
○吊橋を踏む音消ゆる菜種梅雨  茂樹
ふるさとはぐるり山・山・山笑ふ  麦
片足浸す光流るる春の川  麦
春光やモールの広き駐車場  えこ
◎桜並木下しか見ない母を連れ  えこ
不可能な事はないよとなずな咲く  愛幸
頭上では今忘れんと桜咲く  愛幸
○ゴンズイの玉は波間の位相幾何  斑猫
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捨てられし細魚の青や防波堤  斑猫


                                       
(句会寸描)

*兼題の「花一切」は、頭一つ抜け出した斑猫さんが一位となった。雑詠は、えこさんが一位となった。兼題は、たいへん個性的な句が数多く見受けられた。雑詠は、春の盛りをバラエティーに富んで詠んでいた。


*兼題 「花一切」

◎フィボナッチ数列に散る八重桜  斑猫

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自然界に通じる「フィボナッチ数列」の黄金比率を人は美しいと感じる。その中の数字の「8」を上手く取り込んでいる。「八重桜」が螺旋状に美しく舞っている。

○桜降る星降る地球の上に居る  六星
昼は桜を、夜は星空を眺めながら、人は暮らしている。そういう体験を幸せに感じる思いが素直に伝わってくる。

○ヒロシマの川べりの花的礫たる  麦
あの原爆で焼け野原の「ヒロシマ」に、今は見事な花が「川べり」に咲いている。「的礫たる」の措辞がピカドンの記憶と重なっているように思える。



*当季雑詠

◎桜並木下しか見ない母を連れ  えこ
お母様への思いを何も語っていないが、中七の「下しか見ない」に、過去のお母様との花見の思い出、今の厳しい現実など作者の複雑な心中が想像できる。
                                             
○吊橋を踏む音消ゆる菜種梅雨  茂樹
雨降りの日に、京橋川にかかっている工兵橋を渡っていた時の体感をそのまま詠み込んでみた。

○ゴンズイの玉は波間の位相幾何  斑猫
 「ゴンズイの玉」のうねりと「波間」のうねりを重ね合わせている。それらを「位相幾何」と捉えたところがユニークで、躍動感のある句になっている。


*次回予定

日時 五月七日(日)十八時〜二十時 
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「虹」一句と当季雑詠を二句

※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。

投句締切 五月六日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 五月七日(日)
選句締切 五月十日(水)
選句連絡先 茂樹まで
 
   (茂樹 記)
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