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『短夜』  六月の俳句会

2022年06月13日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第九十三号(令和四年六月) 


しばらく好天が続いていたが生憎の雨模様となった。MADAME 寅 三人展の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、欠席投句の四名を含めて十三名となった。   

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  (◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
   (兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)



兼題 「短夜」

○短夜の湿原の宿風唸る   六星
短夜や糠床にある吾の手形   走波
◎短夜や朝日眩しき夜行バス   清流
◎短夜の夢の続きを見てゐたし   ねむ女
短夜に生まれし吾子もはや十三   愛幸
短夜や解体跡の地の平ら   えこ
短夜や足の痛みの引かぬこと   たつみ
老人は短夜こそ安心す   風外
夏の夜はいつの間にやら明けにけり   進
○明易や水浸しなる魚市場   茂樹
短夜は惰眠貪る暇もなく   右京
明易しへそ繰る場所はお針箱   麦
短夜や遠く市電の音で明く   朋子


当季雑詠

○桑の実を拾うて犬と天満川   六星
○朝日さす画布に二輪のアマリリス   六星
闘病の友の髪抜け梅雨の入り   走波
土の香の新馬鈴薯を頂けり   走波
小さきものは捩花の三つ編み   清流
夏草の穂風となりて旅立つ朝   清流
◎泰山木の花咲く下の古本屋   ねむ女
古希祝ふ膳に蚕豆三度豆   ねむ女
貴腐ワイン女仲間と初夏の午後   愛幸
薄衣まとひて探す路の陰   愛幸
夏の海コンビナートの錆鈍し   えこ
青梅の荒れ庭に一つ実りたり   えこ
睡蓮の葉に乗りたくて十二才   たつみ
腰掛けて足をぶらぶらソーダ水   たつみ
あじさいは水を飲みほし大輪に   風外
ころもがへ長袖恋しき夜もあり   風外
雨上がり道を横切る夜の蛇   進 
夏の蝶身をひるがへし二羽三羽   進 
青空を青鷺海へ進みけり   茂樹
モザイクの光の波を受くるちぬ   茂樹
ビアホールグラス片手に天仰ぐ   右京
湧き上がるソーダの泡をじっと見る   右京     
ひし型の黄の口並ぶつばめの巣   麦
風薫るベンチにしばし青空と   麦
栴檀の花や我行く道は右   朋子
○新緑やつり輪も揺るる芸備線   朋子



(句会寸描)


*兼題の「短夜」は、清流さんとねむ女さんが一位を分け合った。雑詠もねむ女さんが一位となった。兼題は、「短夜」のみにとらわれて皆さん苦労されたようだ。傍題の「明易」等も合わせて詠まれると幅広い句になったかもしれない。雑詠は、バラエティーに富んでいた。

*兼題 「短夜」


◎短夜や朝日眩しき夜行バス   清流
「短夜」らしくすぐ朝になった感じがよく出ている。中七の「朝日眩しき」により、寝不足と早朝の雰囲気がほどよく強調されている。

◎短夜の夢の続きを見てゐたし   ねむ女
きっと良い「夢」だったに違いない。或いは夢のような出来事が現実に起こったとも想像できる。

○短夜の湿原の宿風唸る   六星
下五の「風唸る」でよく眠れなかったように思われる。秋の「長き夜」でなく「短夜」だったため、今回はよき思い出として残るような気がする。

○明易や水浸しなる魚市場   茂樹
かつて会社の通勤途中に、このような情景に何度か出くわしたことをふと思い出した。


*当季雑詠

◎泰山木の花咲く下の古本屋   ねむ女
「泰山木の花」は、白くて大きく、よい香りがするので、たいへん目につきやすい。きっと雰囲気のある古本屋さんだろう。

○桑の実を拾うて犬と天満川   六星
日常のありふれた景色の中からさりげなく「桑の実」を詠み込んで、景がはっきりと見えてくる。中七の「拾うて犬と」により句のリズムも良くなっている。

○朝日さす画布に二輪のアマリリス   六星    
実際の「アマリリス」ではなく絵画の「アマリリス」。本物も美しいが、この絵には特別の思い入れがあるように思われる。

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○新緑やつり輪も揺るる芸備線   朋子
行楽に出かけるウキウキとした感じが伝わってくる。心地よく
列車に揺られながら、山深い沿線の「新緑」を満喫している。




*次回予定

日時 七月三日(日)十八時〜二十時 
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「オノマトペを入れた句」一句と当季雑詠を二句
 
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。

投句締切 七月二日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 七月三日(日)
選句締切 七月六日(水)
選句連絡先 茂樹まで

    (茂樹 記)



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