八月の句会 「盆一切」
2021年08月16日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報 第八十三号(令和三年八月)
再びコロナの感染が拡大している最中に、更に台風が近づいて、今までに経験したことのない厳しい環境での句会となった。金島大智さんの個展(十九歳の今)の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、欠席投句の七名を含めて十一名となった。但し、釜爺さんは、今回選句を辞退されました。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「盆一切」
見送りし数をかぞえて盆の月 進
◎島に来て知らぬ輪に入る盆踊り 六星
岐阜提灯桔梗と芒の描かれをり 走波

迎火に送り火焚きし故郷の盆 愛幸
精霊流し無縁となりし街よ、空 中中
こよひだけすくうておくれ灯籠舟 釜爺
はらからの集ふことなき盂蘭盆会 茂樹
コロナ禍や帰るなと云ふ帰省子に たつみ
お盆には地獄の釜も定休日 風外
帰る日をメールで知つて盆近し 朋子
○初盆の夫に供ふる胡蝶蘭 ねむ女
当季雑詠
蜩の鳴き交はしたり朝の月 進
おぉと言い首をすくめる今朝の秋 進
君何処探せど見えぬ蝉しぐれ 六星
○薄青の朝顔の底に滑り落ち 六星
炎天の土手に烏の骸(むくろ)あり 走波
グラスに梅酒オンザロックでカラコロン 走波
道端に蝉の亡骸ころがれり 愛幸
夏東京オリンピアンの汗ひかる 愛幸
◎あめ色の空蝉の背の糸白し 中中
◎犬の尾の八分音符や今朝の秋 中中
遠き雷玻璃盃に注ぐ火酒かな 釜爺
ーK女史ー
片たすき掠めて抜ける土用東風 釜爺
幾本も白き筋引く秋の海 茂樹

○立て看板の沈みかけたる葛の海 茂樹
白靴を履いて尾灯を見送れり たつみ
木下闇犬は束の間涼みをり たつみ
アブラゼミ小さくなって妻に似る 風外
鈴虫や鳴けば即座に山里に 風外
素麺を茹がきもせずにふて寝かな 朋子
○夏の海魚ひるがえり銀の腹 朋子
◎父母のおはせし頃の籐寝椅子 ねむ女
アドリブもいつしか古典踊唄 ねむ女
(句会寸描)
*兼題の「盆一切」は、六星さんが一位となった。雑詠は、大接戦となり中中さんとねむ女さんが一位を分け合った。兼題は、それぞれの盆に対する思いがよく伝わってきた。雑詠は、季節の変わり目らしい句が目についた。
*兼題 「盆一切」
◎島に来て知らぬ輪に入る盆踊り 六星
「盆踊り」はそれぞれの土地に特有のものがある。最初は、違和感を覚えながらも、次第に馴染んでいる様子が伺える。中七の「知らぬ輪に入る」の「輪」は、わざわざ云わなくても「盆踊り」で分かるので、少しもったいなかったような気がする。
○初盆の夫に供ふる胡蝶蘭 ねむ女
「胡蝶蘭」に亡くなられたご主人に対する想いが伝わってくる。「蘭」は秋の季語であるが、「胡蝶蘭」は季節感がないので気にならない。
*当季雑詠
◎あめ色の空蝉の背の糸白し 中中
見過ごしがちな空蝉の細かいところをよく観察している。白い糸状のものは恐らく脱皮した時に、残ったものと思われる。
◎犬の尾の八分音符や今朝の秋 中中
「犬の尾」を「八分音符」に見立てたところが面白い。気分よさそうに尾を立ててリズミカルに歩いている姿が目に浮かぶ。
◎父母のおはせし頃の籐寝椅子 ねむ女
「籐寝椅子」は、今も家のどこかに置かれているのであろう。ご両親と過ごされた頃の懐かしさと共に、敬いの気持ちが伝わってくる。
○薄青の朝顔の底に滑り落ち 六星
夢でも見たのだろうか。いかにも爽やかで気持ちよさそうだ。ただ、中八が少し気になる。
○立て看板の沈みかけたる葛の海 茂樹
車窓からは、繁殖力の強い葛が沿線のいたるところに見受けられたが、この景が一番インパクトがあった。
○夏の海魚ひるがえり銀の腹 朋子
よく晴れた日に、魚がひるがえると太陽の光線の関係で、きらきらと煌めいている姿が美しい。ただよく見かける景なので類句が多いかもしれない。
*次回予定
日時 九月五日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「風一切」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 九月四日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 九月五日(日)
選句締切 九月八日(水)
選句連絡先 茂樹まで
(茂樹 記)
再びコロナの感染が拡大している最中に、更に台風が近づいて、今までに経験したことのない厳しい環境での句会となった。金島大智さんの個展(十九歳の今)の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、欠席投句の七名を含めて十一名となった。但し、釜爺さんは、今回選句を辞退されました。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「盆一切」
見送りし数をかぞえて盆の月 進
◎島に来て知らぬ輪に入る盆踊り 六星
岐阜提灯桔梗と芒の描かれをり 走波

迎火に送り火焚きし故郷の盆 愛幸
精霊流し無縁となりし街よ、空 中中
こよひだけすくうておくれ灯籠舟 釜爺
はらからの集ふことなき盂蘭盆会 茂樹
コロナ禍や帰るなと云ふ帰省子に たつみ
お盆には地獄の釜も定休日 風外
帰る日をメールで知つて盆近し 朋子
○初盆の夫に供ふる胡蝶蘭 ねむ女
当季雑詠
蜩の鳴き交はしたり朝の月 進
おぉと言い首をすくめる今朝の秋 進
君何処探せど見えぬ蝉しぐれ 六星
○薄青の朝顔の底に滑り落ち 六星
炎天の土手に烏の骸(むくろ)あり 走波
グラスに梅酒オンザロックでカラコロン 走波
道端に蝉の亡骸ころがれり 愛幸
夏東京オリンピアンの汗ひかる 愛幸
◎あめ色の空蝉の背の糸白し 中中
◎犬の尾の八分音符や今朝の秋 中中
遠き雷玻璃盃に注ぐ火酒かな 釜爺
ーK女史ー
片たすき掠めて抜ける土用東風 釜爺
幾本も白き筋引く秋の海 茂樹

○立て看板の沈みかけたる葛の海 茂樹
白靴を履いて尾灯を見送れり たつみ
木下闇犬は束の間涼みをり たつみ
アブラゼミ小さくなって妻に似る 風外
鈴虫や鳴けば即座に山里に 風外
素麺を茹がきもせずにふて寝かな 朋子
○夏の海魚ひるがえり銀の腹 朋子
◎父母のおはせし頃の籐寝椅子 ねむ女
アドリブもいつしか古典踊唄 ねむ女
(句会寸描)
*兼題の「盆一切」は、六星さんが一位となった。雑詠は、大接戦となり中中さんとねむ女さんが一位を分け合った。兼題は、それぞれの盆に対する思いがよく伝わってきた。雑詠は、季節の変わり目らしい句が目についた。
*兼題 「盆一切」
◎島に来て知らぬ輪に入る盆踊り 六星
「盆踊り」はそれぞれの土地に特有のものがある。最初は、違和感を覚えながらも、次第に馴染んでいる様子が伺える。中七の「知らぬ輪に入る」の「輪」は、わざわざ云わなくても「盆踊り」で分かるので、少しもったいなかったような気がする。
○初盆の夫に供ふる胡蝶蘭 ねむ女
「胡蝶蘭」に亡くなられたご主人に対する想いが伝わってくる。「蘭」は秋の季語であるが、「胡蝶蘭」は季節感がないので気にならない。
*当季雑詠
◎あめ色の空蝉の背の糸白し 中中
見過ごしがちな空蝉の細かいところをよく観察している。白い糸状のものは恐らく脱皮した時に、残ったものと思われる。
◎犬の尾の八分音符や今朝の秋 中中
「犬の尾」を「八分音符」に見立てたところが面白い。気分よさそうに尾を立ててリズミカルに歩いている姿が目に浮かぶ。
◎父母のおはせし頃の籐寝椅子 ねむ女
「籐寝椅子」は、今も家のどこかに置かれているのであろう。ご両親と過ごされた頃の懐かしさと共に、敬いの気持ちが伝わってくる。
○薄青の朝顔の底に滑り落ち 六星
夢でも見たのだろうか。いかにも爽やかで気持ちよさそうだ。ただ、中八が少し気になる。
○立て看板の沈みかけたる葛の海 茂樹
車窓からは、繁殖力の強い葛が沿線のいたるところに見受けられたが、この景が一番インパクトがあった。
○夏の海魚ひるがえり銀の腹 朋子
よく晴れた日に、魚がひるがえると太陽の光線の関係で、きらきらと煌めいている姿が美しい。ただよく見かける景なので類句が多いかもしれない。
*次回予定
日時 九月五日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「風一切」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 九月四日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 九月五日(日)
選句締切 九月八日(水)
選句連絡先 茂樹まで
(茂樹 記)
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