七月の句会 兼題「合歓の花」
2021年07月13日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第八十二号(令和三年七月)
今回は、緊急事態宣言がやっと解除され三ヶ月ぶりの句会となった。湊里香さんの絵画展の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、初参加の湊里香(俳号:碧霄)さんと欠席投句の五名を含めて十四名となった。

途中から走波さんも出席されました。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「合歓の花」
合歓の花天女のつけし髪飾り 風外
◎朝霧に夢の続きか合歓の花 碧霄
〇突然の雨に打たれてねむの花 進
ジュリアナの扇のごとき合歓の花 走波
〇初めての紅を一刷毛合歓の花 朋子
故郷の川に色あり合歓の花 ねむ女
〇本日の店仕舞ひして合歓の花 えこ
◎忘れたき想ひ出もあり合歓の花 六星
◎花合歓やなもあみだんぶを路地に聞く 中中
◎峡深きとまやにけぶる合歓の花 茂樹
保護猫の里親探し合歓の花 たつみ
○悪口もふわりかわして合歓の花 厚子
◎キャラバンの影長く曳き合歓の花 釜爺
合歓の花そねひびきこそ惑はしき 愛幸
当季雑詠
年一度七夕の笹はたらけり 風外
長き列白き輝きかき氷 風外
昼さがり窓辺にゆれる若葡萄 碧霄
入道雲高くそびえて目指す宇宙(そら) 碧霄
○香りしてすれ違ひたる日傘かな 進
わが犬も簾おろして午寝かな 進
編んだり解いたり雨の日のレース編み 走波
鬼百合の色鮮やかや朝の雨 走波
紫陽花や気ままな君の尾のゆくえ 朋子
地下街のひまわり空を探しおり 朋子
もじずりのすつくと伸びてねぢゆるき ねむ女

○板張の厠にぢつと袋蜘蛛 ねむ女
故郷の雨戸開けば散る舟虫 えこ
闇にひびふわり腐草蛍となる えこ
子らの声遊び終はらぬ白夜かな 六星
南口真夏の真っ赤な花の列 六星
○大いなる風を生む時青芭蕉 中中
ががんぼやなぜ生きている生きている 中中
白シャツの駆け抜け躍るランドセル 茂樹
◎校庭に馬穴転がる炎天下 茂樹
漱石は売れてゆきたり雲の峰 たつみ
くちなはの写真画面を閉づる朝 たつみ

玉虫や絢爛にみるグロテスク 厚子
鉢植えも我が家自慢の夏畑 厚子
夏靴のため息かすか二十二時 釜爺
草ひいて空の近さを確むる 釜爺
曲げ胡瓜新鮮そのままかぶりつき 愛幸
夏至の日に窓開け放ち風渡る 愛幸
(句会寸描)
*兼題の「合歓の花」は、まれに見る大接戦の末、初参加の碧霄さんをはじめ、六星さん、中中さん、釜爺さんと茂樹が同点一位となった。雑詠は、茂樹が一位となった。今回は、兼題の選がかなり分散して、広範囲にわたって取り上げられていた。

*兼題 「合歓の花」
◎朝霧に夢の続きか合歓の花 碧霄
しっとりとした幻想的な光景が目に浮かぶ。ただ、「朝霧」(秋)が、季重なりになったのが、惜しまれる。
◎忘れたき想ひ出もあり合歓の花 六星
よい「想ひ出」、よくない「想ひ出」などといろいろと想像を駆り立てて、興味深い。「合歓の花」が作者の様々な心境をあたたかく包み込んでくれている。
◎花合歓やなもあみだんぶを路地に聞く 中中
浄土真宗が盛んな広島では、ごく日常のことかもしれない。幼いころからの風物詩として、「花合歓」もよく映えて調和している。
◎峡深きとまやにけぶる合歓の花 茂樹
以前は、日本の山間部では、よく見かけた光景であるが、今では、過疎化や廃線などの影響により目にすることは少なくなった。
◎キャラバンの影長く曳き合歓の花 釜爺
「合歓の花」といえばどこか中国の奥深い桃源郷のようなところを連想するが、この句はまずシルクロードが浮かび近くにオアシスがあるような雰囲気がする。のんびりと進む駱駝の「キャラバン」と「合歓の花」が鮮やかに映える。
〇突然の雨に打たれてねむの花 進
晴れている時の「合歓の花」は本当に艶やかな雰囲気をかもしだしているだけに、雨に打たれるとどことなく哀愁が漂っているような気持ちになる。
〇初めての紅を一刷毛合歓の花 朋子
様々な場面が想像できる一句。「初めて」、「一刷毛」など、清清しさを感じる。
〇本日の店仕舞ひして合歓の花 えこ
昨今のコロナ禍で、客があまり来ず早々に店仕舞いをしたのであろうか。もやもやした気持ちを「合歓の花」がやさしく癒して救われる。
○悪口もふわりかわして合歓の花 厚子
「悪口」は誰でも気になるものであるが、「合歓の花」を観て、いつの間にか気持ちが軽くなった。中七の「ふわりかわして」の「ふわり」がいかにも「合歓の花」らしい。
*当季雑詠
◎校庭に馬穴転がる炎天下 茂樹
「校庭」に、水でも撒こうとしていたブリキの「馬穴(バケツ)」が、ホースとともに無造作に転がっていた。
○香りしてすれ違ひたる日傘かな 進
すれ違うまでは特に意識していなかったが、ほどよい香水の香りをかいで、思わず日傘の女性を振り返る。
○板張の厠にぢつと袋蜘蛛 ねむ女
五十年前にタイムスリップしたような光景である。ほの暗い裸電球の下に映し出される「袋蜘蛛」の行方を見守っている。
○大いなる風を生む時青芭蕉 中中
晴れわたる空に心地よくなびいている「青芭蕉」の姿は、いかにも夏らしく力強い。中七の「風を生む時」が独創的で「青芭蕉」によく合っている。
*次回予定
日時 八月八日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「盆一切」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 八月七日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 八月八日(日)
選句締切 八月十一日(水)
選句連絡先 茂樹まで
(茂樹 記)
今回は、緊急事態宣言がやっと解除され三ヶ月ぶりの句会となった。湊里香さんの絵画展の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、初参加の湊里香(俳号:碧霄)さんと欠席投句の五名を含めて十四名となった。

途中から走波さんも出席されました。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「合歓の花」
合歓の花天女のつけし髪飾り 風外
◎朝霧に夢の続きか合歓の花 碧霄
〇突然の雨に打たれてねむの花 進
ジュリアナの扇のごとき合歓の花 走波
〇初めての紅を一刷毛合歓の花 朋子
故郷の川に色あり合歓の花 ねむ女
〇本日の店仕舞ひして合歓の花 えこ
◎忘れたき想ひ出もあり合歓の花 六星
◎花合歓やなもあみだんぶを路地に聞く 中中
◎峡深きとまやにけぶる合歓の花 茂樹
保護猫の里親探し合歓の花 たつみ
○悪口もふわりかわして合歓の花 厚子
◎キャラバンの影長く曳き合歓の花 釜爺
合歓の花そねひびきこそ惑はしき 愛幸
当季雑詠
年一度七夕の笹はたらけり 風外
長き列白き輝きかき氷 風外
昼さがり窓辺にゆれる若葡萄 碧霄
入道雲高くそびえて目指す宇宙(そら) 碧霄
○香りしてすれ違ひたる日傘かな 進
わが犬も簾おろして午寝かな 進
編んだり解いたり雨の日のレース編み 走波
鬼百合の色鮮やかや朝の雨 走波
紫陽花や気ままな君の尾のゆくえ 朋子
地下街のひまわり空を探しおり 朋子
もじずりのすつくと伸びてねぢゆるき ねむ女

○板張の厠にぢつと袋蜘蛛 ねむ女
故郷の雨戸開けば散る舟虫 えこ
闇にひびふわり腐草蛍となる えこ
子らの声遊び終はらぬ白夜かな 六星
南口真夏の真っ赤な花の列 六星
○大いなる風を生む時青芭蕉 中中
ががんぼやなぜ生きている生きている 中中
白シャツの駆け抜け躍るランドセル 茂樹
◎校庭に馬穴転がる炎天下 茂樹
漱石は売れてゆきたり雲の峰 たつみ
くちなはの写真画面を閉づる朝 たつみ

玉虫や絢爛にみるグロテスク 厚子
鉢植えも我が家自慢の夏畑 厚子
夏靴のため息かすか二十二時 釜爺
草ひいて空の近さを確むる 釜爺
曲げ胡瓜新鮮そのままかぶりつき 愛幸
夏至の日に窓開け放ち風渡る 愛幸
(句会寸描)
*兼題の「合歓の花」は、まれに見る大接戦の末、初参加の碧霄さんをはじめ、六星さん、中中さん、釜爺さんと茂樹が同点一位となった。雑詠は、茂樹が一位となった。今回は、兼題の選がかなり分散して、広範囲にわたって取り上げられていた。

*兼題 「合歓の花」
◎朝霧に夢の続きか合歓の花 碧霄
しっとりとした幻想的な光景が目に浮かぶ。ただ、「朝霧」(秋)が、季重なりになったのが、惜しまれる。
◎忘れたき想ひ出もあり合歓の花 六星
よい「想ひ出」、よくない「想ひ出」などといろいろと想像を駆り立てて、興味深い。「合歓の花」が作者の様々な心境をあたたかく包み込んでくれている。
◎花合歓やなもあみだんぶを路地に聞く 中中
浄土真宗が盛んな広島では、ごく日常のことかもしれない。幼いころからの風物詩として、「花合歓」もよく映えて調和している。
◎峡深きとまやにけぶる合歓の花 茂樹
以前は、日本の山間部では、よく見かけた光景であるが、今では、過疎化や廃線などの影響により目にすることは少なくなった。
◎キャラバンの影長く曳き合歓の花 釜爺
「合歓の花」といえばどこか中国の奥深い桃源郷のようなところを連想するが、この句はまずシルクロードが浮かび近くにオアシスがあるような雰囲気がする。のんびりと進む駱駝の「キャラバン」と「合歓の花」が鮮やかに映える。
〇突然の雨に打たれてねむの花 進
晴れている時の「合歓の花」は本当に艶やかな雰囲気をかもしだしているだけに、雨に打たれるとどことなく哀愁が漂っているような気持ちになる。
〇初めての紅を一刷毛合歓の花 朋子
様々な場面が想像できる一句。「初めて」、「一刷毛」など、清清しさを感じる。
〇本日の店仕舞ひして合歓の花 えこ
昨今のコロナ禍で、客があまり来ず早々に店仕舞いをしたのであろうか。もやもやした気持ちを「合歓の花」がやさしく癒して救われる。
○悪口もふわりかわして合歓の花 厚子
「悪口」は誰でも気になるものであるが、「合歓の花」を観て、いつの間にか気持ちが軽くなった。中七の「ふわりかわして」の「ふわり」がいかにも「合歓の花」らしい。
*当季雑詠
◎校庭に馬穴転がる炎天下 茂樹
「校庭」に、水でも撒こうとしていたブリキの「馬穴(バケツ)」が、ホースとともに無造作に転がっていた。
○香りしてすれ違ひたる日傘かな 進
すれ違うまでは特に意識していなかったが、ほどよい香水の香りをかいで、思わず日傘の女性を振り返る。
○板張の厠にぢつと袋蜘蛛 ねむ女
五十年前にタイムスリップしたような光景である。ほの暗い裸電球の下に映し出される「袋蜘蛛」の行方を見守っている。
○大いなる風を生む時青芭蕉 中中
晴れわたる空に心地よくなびいている「青芭蕉」の姿は、いかにも夏らしく力強い。中七の「風を生む時」が独創的で「青芭蕉」によく合っている。
*次回予定
日時 八月八日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「盆一切」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 八月七日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 八月八日(日)
選句締切 八月十一日(水)
選句連絡先 茂樹まで
(茂樹 記)
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