春の鳥 三月の俳句会
2021年03月12日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第七十八号(令和三年三月)
一時急増していたコロナ感染者もかなり減少し、少しずつ賑やかになってきた。水口和恵さんの個展「手づくりもの」の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、欠席投句の三名を含めて十三名となった。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「春の鳥一切」
巣燕や烏丸御池東入る 釜爺
◎朝もやをまっぷたつにして雉の声 進
声すれど見失ひたる揚雲雀 走波
逆しまに蜜吸うてゐる春の鳥 ねむ女
photo by 城英介
鶯は上や下やとごはん時 六星
子雀や米播く友は逝きにけり 風外
○面接を終えて梢に初音聞く 麦
くりかへし鶯来る神の庭 茂樹
山里の空に経よみ鳥の声 厚子
匂鳥ほうと鳴くのに姿失し たつみ
草色の春の鳥来て葬儀終え 朋子
ひばりのおしゃべり友よりの絵ハガキ えこ
ひらと落つ春の雀や雨上がる 中中
当季雑詠
ようず来る万引き犯は二十七 釜爺
俗は句の仇にて候其角の忌 釜爺
田の際を流れ下るや春の水 進
たらの芽をもらひてうれし夕餉かな 進
指先の土の香りや土筆採り 走波
春の街ふわりピンクのスニーカー 走波
○春の夜のコインランドリーの回転 ねむ女
ナイチンゲール!森にヨリンデ・ヨリンゲル ねむ女
○柚子風味ポテトチップス春や春 六星

春めいて我が道をゆく3さい児 六星
盆栽寄せ木瓜半分知恵半分 風外
彼岸よりオオルリの声届きける 風外
愚かなほどに真正直に麦青む 麦
縮景園佐保姫ひらり錦鯉 麦

山道に杖備へられあたたかし 茂樹
原爆の身の上話聴く日永 茂樹
我が道は一歩も引かぬ赤蛙 厚子
○啓蟄や隣の穴を覗き見て 厚子
ぬか漬けの青菜肴に春の宵 たつみ
◎春寒や君居ぬ夜のチョコレート たつみ
春疾風幟あふりて足急かし 朋子
○古雛に問わず語りの午後の居間 朋子
バス停のベンチ温まりて春日 えこ
海岸沿いテーブルに砂春のカフェ えこ
草も吾も自然の一部春の雨 中中
ポケットのメランコリアよ桜貝 中中
(句会寸描)
*兼題の「春の鳥一切」は、かなり選が偏った中、進さんが一位となった。雑詠は、約半数の選を集めたたつみさんが一位となった。兼題では、意外と身近に春の鳥を見かけることが少なくて苦労されたようだ。
*兼題 「春の鳥一切」
◎朝もやをまっぷたつにして雉の声 進
姿が見えないが「雉の声」であることがよく分かる。「まっぷたつにして」が大変よく効いている。新鮮な驚きとともに春の到来を感じさせる。ただ中八になったのが惜しまれる。
○面接を終えて梢に初音聞く 麦
作者によると就活の「面接」の様子を詠まれたそうだ。緊張感から解放されてほっと一息ついている様子が伝わってくる。「初音」を聞く幸運にも恵まれたので、面接も上手くいったものと思われる。
*当季雑詠
◎春寒や君居ぬ夜のチョコレート たつみ
夜遅くチョコレートを食べながら、想うその人はここに居ない。その切なさが伝わってくる。ただ「春寒」が少し強すぎるようにも思われる。
○春の夜のコインランドリーの回転 ねむ女
句としてはかなり破調になっているが、何だろうという興味が湧いてくる。敢えて下五に「回転」を入れたことによって春が動き始めた様子も伺われる。
○柚子風味ポテトチップス春や春 六星
三段切れになっているが、ぽんぽんと名詞を並べた軽妙なリズムが心地よい。春独特のふわふわ感もよく出ている。
○啓蟄や隣の穴を覗き見て 厚子
少しつきすぎの感はあるが、どこか謎めいたところが面白い。果たして「覗き見て」いるのは、虫自身なのか、人間なのか、あるいは・・・。
○古雛に問わず語りの午後の居間 朋子
中七の「問わず語りの」がコロナの自粛生活を物語っているようにも思われる。毎年のことではあるが、今年はいささか趣の違った雛まつりになっているところも多かっただろう。
*次回予定
日時 四月四日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「桜または花」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 四月三日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 四月四日(日)
選句締切 四月七日(水)
選句連絡先 茂樹まで
(茂樹 記)
一時急増していたコロナ感染者もかなり減少し、少しずつ賑やかになってきた。水口和恵さんの個展「手づくりもの」の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、欠席投句の三名を含めて十三名となった。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「春の鳥一切」
巣燕や烏丸御池東入る 釜爺
◎朝もやをまっぷたつにして雉の声 進
声すれど見失ひたる揚雲雀 走波
逆しまに蜜吸うてゐる春の鳥 ねむ女

鶯は上や下やとごはん時 六星
子雀や米播く友は逝きにけり 風外
○面接を終えて梢に初音聞く 麦
くりかへし鶯来る神の庭 茂樹
山里の空に経よみ鳥の声 厚子
匂鳥ほうと鳴くのに姿失し たつみ
草色の春の鳥来て葬儀終え 朋子
ひばりのおしゃべり友よりの絵ハガキ えこ
ひらと落つ春の雀や雨上がる 中中
当季雑詠
ようず来る万引き犯は二十七 釜爺
俗は句の仇にて候其角の忌 釜爺
田の際を流れ下るや春の水 進
たらの芽をもらひてうれし夕餉かな 進
指先の土の香りや土筆採り 走波
春の街ふわりピンクのスニーカー 走波
○春の夜のコインランドリーの回転 ねむ女
ナイチンゲール!森にヨリンデ・ヨリンゲル ねむ女
○柚子風味ポテトチップス春や春 六星

春めいて我が道をゆく3さい児 六星
盆栽寄せ木瓜半分知恵半分 風外
彼岸よりオオルリの声届きける 風外
愚かなほどに真正直に麦青む 麦
縮景園佐保姫ひらり錦鯉 麦

山道に杖備へられあたたかし 茂樹
原爆の身の上話聴く日永 茂樹
我が道は一歩も引かぬ赤蛙 厚子
○啓蟄や隣の穴を覗き見て 厚子
ぬか漬けの青菜肴に春の宵 たつみ
◎春寒や君居ぬ夜のチョコレート たつみ
春疾風幟あふりて足急かし 朋子
○古雛に問わず語りの午後の居間 朋子
バス停のベンチ温まりて春日 えこ
海岸沿いテーブルに砂春のカフェ えこ
草も吾も自然の一部春の雨 中中
ポケットのメランコリアよ桜貝 中中
(句会寸描)
*兼題の「春の鳥一切」は、かなり選が偏った中、進さんが一位となった。雑詠は、約半数の選を集めたたつみさんが一位となった。兼題では、意外と身近に春の鳥を見かけることが少なくて苦労されたようだ。
*兼題 「春の鳥一切」
◎朝もやをまっぷたつにして雉の声 進
姿が見えないが「雉の声」であることがよく分かる。「まっぷたつにして」が大変よく効いている。新鮮な驚きとともに春の到来を感じさせる。ただ中八になったのが惜しまれる。
○面接を終えて梢に初音聞く 麦
作者によると就活の「面接」の様子を詠まれたそうだ。緊張感から解放されてほっと一息ついている様子が伝わってくる。「初音」を聞く幸運にも恵まれたので、面接も上手くいったものと思われる。
*当季雑詠
◎春寒や君居ぬ夜のチョコレート たつみ
夜遅くチョコレートを食べながら、想うその人はここに居ない。その切なさが伝わってくる。ただ「春寒」が少し強すぎるようにも思われる。
○春の夜のコインランドリーの回転 ねむ女
句としてはかなり破調になっているが、何だろうという興味が湧いてくる。敢えて下五に「回転」を入れたことによって春が動き始めた様子も伺われる。
○柚子風味ポテトチップス春や春 六星
三段切れになっているが、ぽんぽんと名詞を並べた軽妙なリズムが心地よい。春独特のふわふわ感もよく出ている。
○啓蟄や隣の穴を覗き見て 厚子
少しつきすぎの感はあるが、どこか謎めいたところが面白い。果たして「覗き見て」いるのは、虫自身なのか、人間なのか、あるいは・・・。
○古雛に問わず語りの午後の居間 朋子
中七の「問わず語りの」がコロナの自粛生活を物語っているようにも思われる。毎年のことではあるが、今年はいささか趣の違った雛まつりになっているところも多かっただろう。
*次回予定
日時 四月四日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「桜または花」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 四月三日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 四月四日(日)
選句締切 四月七日(水)
選句連絡先 茂樹まで
(茂樹 記)
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