九月の句会の即興お題は「話」でした。
2019年09月09日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第六十一号(令和元年九月)
九月一日(日)、ここのところの長雨の影響もあり朝夕はめっきり涼しくなってきた。亜希さんのコレクション展の会場をお借りして、欠席投句の六星さん、えこさん、下駄麿さん(途中参加)を含めて十一名の参加者でいつものように六時開始となった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(清記逆順列記)
席題「話」
明月や携帯電話の写真映え 厚子
○小話で盛り上がりたる無月かな 走波
温(ぬる)燗で話の止まる長き夜 進
秋の昼実のない話絵空ごと 麦
◎虫時雨母の話は終わらない たつみ
○あっけなく人死ぬ童話あかとんぼ 新治
佳き酒に会話途切れし夜長かな 朋子
話し下手は父親ゆづり障子貼る 茂樹
当季雑詠
台風の行方気になり父想ふ 厚子
カナブンの命尽きたし秋彼岸 厚子
秋雨や積ん読の本読み始め 走波
夕月や古本買って帰り道 走波
我が犬も旅立ちにけり広島忌 進
十字路を群なし歩く夜の鹿 進
重陽に買い求めたりひやおろし 麦
駅舎にてわれの手を見る虫の声 麦
◎朝寒にタオルケットを手繰り寄せ たつみ
○梨送るとメールが届く散歩道 たつみ
九月来る即ち友の忌日来る 新治
○新涼や栗饅頭の艶に触れ 新治
○何もせず眠き日もあり秋簾 朋子
○本の山傍らにあり秋の幸 朋子
韓国の客遠ざかり雁渡し 茂樹
◎長き夜や葛籠より出す端切れ生地 茂樹
○雨後の月ささ進ぜようきつねどの 下駄麿
◎パルコ前「PAR(パル)」のあたりに鰯雲 下駄麿
○尾道の道てごわくて秋の暮 えこ
◎口腔のほおずきの記憶祖母の庭 えこ
◎ばーちゃんの手の温もりや秋の家 六星
木漏れ日も揺らしてセットンブルのハンモック 六星
(句会寸描)
*席題の「話」は、少数激戦の中、たつみさんが一位となった。雑詠は大混戦の末、たつみさん、下駄麿さん、えこさん、六星さん、茂樹が一位を分け合った。席題の方は、「話」(はなし)そのものの句が数多く見受けられた。雑詠については、欠席投句の方にかなり選が偏った。
*席題「話」
◎虫時雨母の話は終わらない たつみ
日常のよくある光景を上手く切り取っている。母の「話」を聞いている家族は熱心とも上の空とも取れる。そんなこととは露知らず、虫たちは賑やかに鳴いている。
○小話で盛り上がりたる無月かな 走波
せっかくの月が隠れているので、ついつい室内で話し込んでいるうちに、ちょっとした「話」から盛り上がったものと思われるが、落語の「小話」(小咄)を聴きに行ったのかも知れない。
○あっけなく人死ぬ童話あかとんぼ 新治
童話にはこんな「話」が意外とあるようだ。さっぱりした語り口が、気ままに見える「あかとんぼ」とよく馴染んでいる。
*当季雑詠
◎朝寒にタオルケットを手繰り寄せ たつみ
下五の「手繰り寄せ」がいかにも「朝寒」らしい。誰にでも経験があることだろう。
◎長き夜や葛籠より出す端切れ生地 茂樹
子供の頃に、祖母の家で見かけたような記憶がある。
◎パルコ前「PAR(パル)」のあたりに鰯雲 下駄麿
中七の「PAR(パル)」は店の看板のようだが、「鰯雲」がかかっている雄大な景がよく見える。秋は、何となく空を見上げたいような気分になる。
◎口腔のほおずきの記憶祖母の庭 えこ
幼い頃、「祖母の庭」で「ほおずき」を膨らませた感触がふとした時に思い出される。
◎ばーちゃんの手の温もりや秋の家 六星
素朴で温かみのある雰囲気が素直に伝わってくる。「秋の家」もよく効いている。
○梨送るとメールが届く散歩道 たつみ
知人からの「メール」であろうか。作者の和らいだ顔が目に浮かぶ。
○新涼や栗饅頭の艶に触れ 新治
「栗饅頭」の描写から、いかにもおいしそうな雰囲気が伝わってくる。
○何もせず眠き日もあり秋簾 朋子
暑い夏も過ぎて、一息ついている様子が想像される。
○本の山傍らにあり秋の幸 朋子
食欲の秋と読書の秋、いちばんいい季節である。
○雨後の月ささ進ぜよときつねどの 下駄麿
「雨後の月」というお酒の名前と掛け合わせているようだ。月夜のユーモラスな雰囲気がよく出ている。
○尾道の道てごわくて秋の暮 えこ
「尾道の道」は坂道など本当に「てごわくて」、的を得た表現であるが、「てごわくて」を別の表現に置き換えてみるのも一考である。
*次回予定
日時 十月六日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題(落花生)一句と当季雑詠を二句
(茂樹 記)
六星、いまだ欧州をうろついており今回も欠席投句をさせていただきました。
その場にいないと茂樹さんの句会報がとても楽しみです。
私は、フランスのモンペリエ(南仏)の学校に一か月半行ってから、お友達のいるドイツの旅をしています。
行く先々でそこのお家にあるものを勝手に食べてうろうろしてまるで「うろんな客」です。
南仏からドイツに回って最初にお邪魔した黒い森の辺りのエッテンハイムでは自然豊かな土地でヘルブラウさんのご主人のご家族がのどかに暮らしておられて田舎の無い私にはとても魅力的な土地でした。
そこのおばあちゃんは、何度も「ツムボール!」って乾杯してくれます。みなさんはちゃんとおばあちゃんに付き合ってあげて、そのたびにみなさんに幸せが舞い降りてきそうでした。

おばあちゃんのそばにはお世話をしてくれるカトリーヌさん。

おばあちゃんの娘さんのEvaさんは、仕事が無いときはここに来ているそうです。
野性的なネコのチャーリー。

犬のジョンがおばあちゃんの昼寝のそばにいます。
マーガレットおばあちゃんの手を握ったり少し肩を揉んであげたら気持ちよさそうでした。
九月一日(日)、ここのところの長雨の影響もあり朝夕はめっきり涼しくなってきた。亜希さんのコレクション展の会場をお借りして、欠席投句の六星さん、えこさん、下駄麿さん(途中参加)を含めて十一名の参加者でいつものように六時開始となった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(清記逆順列記)
席題「話」
明月や携帯電話の写真映え 厚子
○小話で盛り上がりたる無月かな 走波
温(ぬる)燗で話の止まる長き夜 進
秋の昼実のない話絵空ごと 麦
◎虫時雨母の話は終わらない たつみ
○あっけなく人死ぬ童話あかとんぼ 新治
佳き酒に会話途切れし夜長かな 朋子
話し下手は父親ゆづり障子貼る 茂樹
当季雑詠
台風の行方気になり父想ふ 厚子
カナブンの命尽きたし秋彼岸 厚子
秋雨や積ん読の本読み始め 走波
夕月や古本買って帰り道 走波
我が犬も旅立ちにけり広島忌 進
十字路を群なし歩く夜の鹿 進
重陽に買い求めたりひやおろし 麦
駅舎にてわれの手を見る虫の声 麦
◎朝寒にタオルケットを手繰り寄せ たつみ
○梨送るとメールが届く散歩道 たつみ
九月来る即ち友の忌日来る 新治
○新涼や栗饅頭の艶に触れ 新治
○何もせず眠き日もあり秋簾 朋子
○本の山傍らにあり秋の幸 朋子
韓国の客遠ざかり雁渡し 茂樹
◎長き夜や葛籠より出す端切れ生地 茂樹
○雨後の月ささ進ぜようきつねどの 下駄麿
◎パルコ前「PAR(パル)」のあたりに鰯雲 下駄麿
○尾道の道てごわくて秋の暮 えこ
◎口腔のほおずきの記憶祖母の庭 えこ
◎ばーちゃんの手の温もりや秋の家 六星
木漏れ日も揺らしてセットンブルのハンモック 六星
(句会寸描)
*席題の「話」は、少数激戦の中、たつみさんが一位となった。雑詠は大混戦の末、たつみさん、下駄麿さん、えこさん、六星さん、茂樹が一位を分け合った。席題の方は、「話」(はなし)そのものの句が数多く見受けられた。雑詠については、欠席投句の方にかなり選が偏った。
*席題「話」
◎虫時雨母の話は終わらない たつみ
日常のよくある光景を上手く切り取っている。母の「話」を聞いている家族は熱心とも上の空とも取れる。そんなこととは露知らず、虫たちは賑やかに鳴いている。
○小話で盛り上がりたる無月かな 走波
せっかくの月が隠れているので、ついつい室内で話し込んでいるうちに、ちょっとした「話」から盛り上がったものと思われるが、落語の「小話」(小咄)を聴きに行ったのかも知れない。
○あっけなく人死ぬ童話あかとんぼ 新治
童話にはこんな「話」が意外とあるようだ。さっぱりした語り口が、気ままに見える「あかとんぼ」とよく馴染んでいる。
*当季雑詠
◎朝寒にタオルケットを手繰り寄せ たつみ
下五の「手繰り寄せ」がいかにも「朝寒」らしい。誰にでも経験があることだろう。
◎長き夜や葛籠より出す端切れ生地 茂樹
子供の頃に、祖母の家で見かけたような記憶がある。
◎パルコ前「PAR(パル)」のあたりに鰯雲 下駄麿
中七の「PAR(パル)」は店の看板のようだが、「鰯雲」がかかっている雄大な景がよく見える。秋は、何となく空を見上げたいような気分になる。
◎口腔のほおずきの記憶祖母の庭 えこ
幼い頃、「祖母の庭」で「ほおずき」を膨らませた感触がふとした時に思い出される。
◎ばーちゃんの手の温もりや秋の家 六星
素朴で温かみのある雰囲気が素直に伝わってくる。「秋の家」もよく効いている。
○梨送るとメールが届く散歩道 たつみ
知人からの「メール」であろうか。作者の和らいだ顔が目に浮かぶ。
○新涼や栗饅頭の艶に触れ 新治
「栗饅頭」の描写から、いかにもおいしそうな雰囲気が伝わってくる。
○何もせず眠き日もあり秋簾 朋子
暑い夏も過ぎて、一息ついている様子が想像される。
○本の山傍らにあり秋の幸 朋子
食欲の秋と読書の秋、いちばんいい季節である。
○雨後の月ささ進ぜよときつねどの 下駄麿
「雨後の月」というお酒の名前と掛け合わせているようだ。月夜のユーモラスな雰囲気がよく出ている。
○尾道の道てごわくて秋の暮 えこ
「尾道の道」は坂道など本当に「てごわくて」、的を得た表現であるが、「てごわくて」を別の表現に置き換えてみるのも一考である。
*次回予定
日時 十月六日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題(落花生)一句と当季雑詠を二句
(茂樹 記)
六星、いまだ欧州をうろついており今回も欠席投句をさせていただきました。
その場にいないと茂樹さんの句会報がとても楽しみです。
私は、フランスのモンペリエ(南仏)の学校に一か月半行ってから、お友達のいるドイツの旅をしています。
行く先々でそこのお家にあるものを勝手に食べてうろうろしてまるで「うろんな客」です。
南仏からドイツに回って最初にお邪魔した黒い森の辺りのエッテンハイムでは自然豊かな土地でヘルブラウさんのご主人のご家族がのどかに暮らしておられて田舎の無い私にはとても魅力的な土地でした。
そこのおばあちゃんは、何度も「ツムボール!」って乾杯してくれます。みなさんはちゃんとおばあちゃんに付き合ってあげて、そのたびにみなさんに幸せが舞い降りてきそうでした。

おばあちゃんのそばにはお世話をしてくれるカトリーヌさん。

おばあちゃんの娘さんのEvaさんは、仕事が無いときはここに来ているそうです。
野性的なネコのチャーリー。

犬のジョンがおばあちゃんの昼寝のそばにいます。
マーガレットおばあちゃんの手を握ったり少し肩を揉んであげたら気持ちよさそうでした。
堕天使とか金星などと電子辞書では解説されます。
何故ルシファーまたはルシフェルなのでしょう?
なぜなんでしょうねー。
あれは、南フランスのモンペリエからずーっと野山をバスで走って現れた小さな町の雑貨屋さんのネズミ捕りコーナーで見つけたもので、ほかにも本格的な籠のとかもあって、お店のおじさんに使い方も教えてもらったから使えるものだと思うけど、文字については聞かなかったから、最終的にフランス人の友達の家に行くのでその時に聞いてみますね。