七月の俳句会
2018年07月15日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第四十七号(平成三十年七月)
七月八日(日)、連日の凄まじい豪雨の中、交通手段にあまり影響のなかった多くの人が駆け付けた。直前の音楽会終了後に、kumiko Kanemoto 作品展の会場をお借りして、欠席投句のりう子さん、かかしさん、下駄麿さんと新しく参加された奈央子さんを含めて十四名の参加者で六時過ぎに、いつものように始まった。(下駄麿さんは、お仕事終了後に駆けつけて下さった)
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(清記逆順列記)
兼題 「金魚一切」
赤きべべふはりたゆたふ金魚かな 幸音
無心にて金魚眺むる床屋かな 華院
尾をゆらし金魚夢へと誘ひをり 朋子
振られても離れ難きや金魚のふん 厚子
出目金と意気揚々と凱旋す 六星
◎無言なる金魚一匹昼下がり 走波
モビールの金魚駅舎の風に揺れ たつみ
水草の隠れぬ眼鏡金魚かな 奈央子
長き糞(まり)引いて金魚のよぎりたり ねむ女
○大都市の天の窄みや金魚鉢 新治
近眼のやうに観てゐる金魚鉢 茂樹
薄紙ですくう金魚のかなしさよ りう子
琉(柳)金(井)が(に)ひ(て)れそよがせし青き空 下駄麿
遠き日の天水桶の金魚かな かかし
当季雑詠
暑すぎてアイスクリームがすすむ日々 幸音
盆ダンス昔は二重今二人 幸音
○戸口より山に目凝らす送り梅雨 華院
一夜明け青芝はえる水の跡 華院
緋めだかを欲しがる赤き帽子かな 朋子
◎秘め事を一瞬(ひととき)照らす大花火 朋子
水撒きに猫立ち退けり苔茂る 厚子
〇人知れず月下美人に成りにけり 厚子
〇あばれ梅雨スマホ警報鳴り止まず 六星
明けやすし茄子揉む祖母の丸き背 六星
初蝉や子ら帰省する日は間近 走波
松林ぬけるとそこは夏の海 走波
○雨あがり客のサンダルキュキュと鳴く たつみ
汗ひいて一人の昼の明るさよ たつみ
郷里から届く茄子食ひ安んじる 奈央子
ひたすらに梅雨に待つバス出会いの場 奈央子
◎ががんぼのかそけき影にをののけり ねむ女
○消防車列為して行く梅雨出水 ねむ女
○歌丸に声を授けよ梅雨の星 新治
あぢさゐの上下左右にカメラマン 新治
「何を見ているの」と「毛虫観ています」 茂樹
大木の倒れし後に梅雨出水 茂樹
遠雷と漆黒の闇崖に立つ りう子
あぢさゐや天城の山すそ雨上がり りう子
すげ替へぬ鼻緒のままに梅雨明けぬ 下駄麿
鼻面(小倉)を(に)そ(て)っとすり寄る夏競馬 下駄麿
黒ばえや錨鎖をのばし停泊す かかし
バラの香や風がはこんでハンモック かかし
(句会寸描)
*兼題「金魚一切」は難しいと言っておられた走波さんが一位になった。当季雑詠は、朋子さんとねむ女さんが一位を分け合った。兼題はありきたりの句ではなく、かなり工夫の跡が見受けられた。雑詠の中では、季重なりが多く見受けられた。投句前に今一度確認が必要と思われる。
*兼題「金魚一切」
◎無言なる金魚一匹昼下がり 走波
さっぱりした平明な詠み方が、爽涼感を誘い好評を得た。一点集中の描写で景もよく見えてくる。
○大都市の天の窄みや金魚鉢 新治
ちょっと今までに例のない斬新な詠み方にはっとさせられた。「天」と「金魚鉢」の取り合わせも飛躍していて面白い。
*当季雑詠
◎秘め事を一瞬(ひととき)照らす大花火 朋子
「秘め事」の瞬間を見事に切り取って表現している。「秘め事」が男女間のことか、単純に内緒にしていることか興味深い。ただ「大花火」の「大」はあまり効いていないような気がする。
◎ががんぼのかそけき影にをののけり ねむ女
「ががんぼ」の何ともいえない不気味な雰囲気をよく捉えている。反面「ががんぼ」自体に「かそけき」感じが含まれているので「かそけき」が省略できそうな感じもする。
○戸口より山に目凝らす送り梅雨 華院
中七の「山に目凝らす」が何かを心配している様子がうかがえる。今回の西日本豪雨と重なり緊張感が漂っている。
〇人知れず月下美人に成りにけり 厚子
一夜限りの「月下美人」の特徴を平明に表現している。ただ「月下美人に」の「に」は説明的な感じがする。
〇あばれ梅雨スマホ警報鳴りやまず 六星
物凄いことになっている雰囲気がひしひしと伝わってくる。「○○○警報鳴りやまず」は常套的な表現なので扱い方に気を付けたい。
○雨あがり客のサンダルキュキュと鳴く たつみ
何げない日常の一コマを上手く活写している。「キュキュと鳴く」の擬人化した表現に臨場感がある。
○消防車列為して行く梅雨出水 ねむ女
「梅雨出水」と「消防車」の取り合わせが事態の深刻さを物語っている。
○歌丸に声を授けよ梅雨の星 新治
追悼句のようでもあり、現役復帰の願いのようでもある。「梅雨の星」が切なさを漂わせている。
*次回予定
日時 八月十二日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「西瓜」を一句と当季雑詠を二句
「お詫び」
この度は、お預かりしておりました下駄麿さんの欠席投句「すげ替へぬ鼻緒のままに梅雨明けぬ」を転記の際、写し間違えて出句してしまい、皆様に大変ご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。
(茂樹 記)
七月八日(日)、連日の凄まじい豪雨の中、交通手段にあまり影響のなかった多くの人が駆け付けた。直前の音楽会終了後に、kumiko Kanemoto 作品展の会場をお借りして、欠席投句のりう子さん、かかしさん、下駄麿さんと新しく参加された奈央子さんを含めて十四名の参加者で六時過ぎに、いつものように始まった。(下駄麿さんは、お仕事終了後に駆けつけて下さった)
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(清記逆順列記)
兼題 「金魚一切」
赤きべべふはりたゆたふ金魚かな 幸音
無心にて金魚眺むる床屋かな 華院
尾をゆらし金魚夢へと誘ひをり 朋子
振られても離れ難きや金魚のふん 厚子
出目金と意気揚々と凱旋す 六星
◎無言なる金魚一匹昼下がり 走波
モビールの金魚駅舎の風に揺れ たつみ
水草の隠れぬ眼鏡金魚かな 奈央子
長き糞(まり)引いて金魚のよぎりたり ねむ女
○大都市の天の窄みや金魚鉢 新治
近眼のやうに観てゐる金魚鉢 茂樹
薄紙ですくう金魚のかなしさよ りう子
琉(柳)金(井)が(に)ひ(て)れそよがせし青き空 下駄麿
遠き日の天水桶の金魚かな かかし
当季雑詠
暑すぎてアイスクリームがすすむ日々 幸音
盆ダンス昔は二重今二人 幸音
○戸口より山に目凝らす送り梅雨 華院
一夜明け青芝はえる水の跡 華院
緋めだかを欲しがる赤き帽子かな 朋子
◎秘め事を一瞬(ひととき)照らす大花火 朋子
水撒きに猫立ち退けり苔茂る 厚子
〇人知れず月下美人に成りにけり 厚子
〇あばれ梅雨スマホ警報鳴り止まず 六星
明けやすし茄子揉む祖母の丸き背 六星
初蝉や子ら帰省する日は間近 走波
松林ぬけるとそこは夏の海 走波
○雨あがり客のサンダルキュキュと鳴く たつみ
汗ひいて一人の昼の明るさよ たつみ
郷里から届く茄子食ひ安んじる 奈央子
ひたすらに梅雨に待つバス出会いの場 奈央子
◎ががんぼのかそけき影にをののけり ねむ女
○消防車列為して行く梅雨出水 ねむ女
○歌丸に声を授けよ梅雨の星 新治
あぢさゐの上下左右にカメラマン 新治
「何を見ているの」と「毛虫観ています」 茂樹
大木の倒れし後に梅雨出水 茂樹
遠雷と漆黒の闇崖に立つ りう子
あぢさゐや天城の山すそ雨上がり りう子
すげ替へぬ鼻緒のままに梅雨明けぬ 下駄麿
鼻面(小倉)を(に)そ(て)っとすり寄る夏競馬 下駄麿
黒ばえや錨鎖をのばし停泊す かかし
バラの香や風がはこんでハンモック かかし
(句会寸描)
*兼題「金魚一切」は難しいと言っておられた走波さんが一位になった。当季雑詠は、朋子さんとねむ女さんが一位を分け合った。兼題はありきたりの句ではなく、かなり工夫の跡が見受けられた。雑詠の中では、季重なりが多く見受けられた。投句前に今一度確認が必要と思われる。
*兼題「金魚一切」
◎無言なる金魚一匹昼下がり 走波
さっぱりした平明な詠み方が、爽涼感を誘い好評を得た。一点集中の描写で景もよく見えてくる。
○大都市の天の窄みや金魚鉢 新治
ちょっと今までに例のない斬新な詠み方にはっとさせられた。「天」と「金魚鉢」の取り合わせも飛躍していて面白い。
*当季雑詠
◎秘め事を一瞬(ひととき)照らす大花火 朋子
「秘め事」の瞬間を見事に切り取って表現している。「秘め事」が男女間のことか、単純に内緒にしていることか興味深い。ただ「大花火」の「大」はあまり効いていないような気がする。
◎ががんぼのかそけき影にをののけり ねむ女
「ががんぼ」の何ともいえない不気味な雰囲気をよく捉えている。反面「ががんぼ」自体に「かそけき」感じが含まれているので「かそけき」が省略できそうな感じもする。
○戸口より山に目凝らす送り梅雨 華院
中七の「山に目凝らす」が何かを心配している様子がうかがえる。今回の西日本豪雨と重なり緊張感が漂っている。
〇人知れず月下美人に成りにけり 厚子
一夜限りの「月下美人」の特徴を平明に表現している。ただ「月下美人に」の「に」は説明的な感じがする。
〇あばれ梅雨スマホ警報鳴りやまず 六星
物凄いことになっている雰囲気がひしひしと伝わってくる。「○○○警報鳴りやまず」は常套的な表現なので扱い方に気を付けたい。
○雨あがり客のサンダルキュキュと鳴く たつみ
何げない日常の一コマを上手く活写している。「キュキュと鳴く」の擬人化した表現に臨場感がある。
○消防車列為して行く梅雨出水 ねむ女
「梅雨出水」と「消防車」の取り合わせが事態の深刻さを物語っている。
○歌丸に声を授けよ梅雨の星 新治
追悼句のようでもあり、現役復帰の願いのようでもある。「梅雨の星」が切なさを漂わせている。
*次回予定
日時 八月十二日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「西瓜」を一句と当季雑詠を二句
「お詫び」
この度は、お預かりしておりました下駄麿さんの欠席投句「すげ替へぬ鼻緒のままに梅雨明けぬ」を転記の際、写し間違えて出句してしまい、皆様に大変ご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。
(茂樹 記)
句会の中に、落語ファンがいるのかな?
多分落語も好きかな。
落語好きが高じて落語する人は下駄麻呂さん。
落語名は、出禁亭長話(できんていながばなし)じゃった気がする。笑
しんちゃんは、米朝さんを聴いてたらしいよ。