三月の句会は席題(即興みたいなん)でした!
2018年03月09日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報 第四十三号(平成三十年三月)
三月四日(日)、梅も満開となりやっと春らしい陽気になった。宮武裕さんの「ぼんさんの試行錯誤の作品達」展の会場をお借りして、欠席投句のねむ女さんを含めて十二名の参加者で六時過ぎに、いつものように始まった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)

席題 「結」 (清記逆順列記)
◎靴ひもを結ぶ背中や水温む たつみ
口元を固く結びて春一番 華院
〇春日和結びを持って川原へ 走波
〇靴紐を結び直して新学期 六星
うら結びこれで完成春個展 風外
◎髪結びうでまくりして風光る 麦
◎吃と結ぶ錆色の口駒に花 下駄麿
〇結ぶ手の成長願う雛飾り 厚子
〇結論は何よとつめよる春の夕 りう子
〇蝶結びついに崩れて春泥へ 新治
ピカソとも結界めく絵兜太の忌 茂樹
雑詠(仲春)
◎貝寄せや離島赴任の姉送る たつみ
◎対岸に走る人あり風光る たつみ
春の鳥砂浴びくらい好きにせよ 華院
黙考をかき乱されて春疾風 華院
蕗味噌や炊きたての飯あればよし 走波
〇春宵や金継ぎの金なまめかし 走波
チャーハンの昼飯午後の春うらら 六星
百年の歳を重ねた雛座る 六星
すけし白食欲そそる干鰈 風外
残雪の大山見たり句も作れ 風外
カレンダー一枚めくれば下萌ゆる 麦
永き日や花の冠のできる頃 麦
春紡ぐ啓太郎の弓アマポーラ 下駄麿
広響ヴァイオリン奏者山根啓太郎さん
錆色のため息聞くや春の宵 下駄麿
卒業式窓の外には雲流る 厚子
〇仏壇に色鮮やかな黄水仙 厚子
つややかに桜の枝のなまめかし りう子
春の瀬戸鏡面の海に静止せり りう子
春愁やレンガの壁のあみだくじ 新治
相輪の影のたゆたひ水温む 新治
〇啓蟄や出動待ちの消防署 茂樹
三月や鼻息荒き牝馬の絵 茂樹
〇春の潮ボトルメールの流れ着く ねむ女
五色のゼリーポンチや春燈 ねむ女
(句会寸描)
*席題「結」は大接戦の末、たつみさんと麦さんと下駄麿さんが一位を分け合った。雑詠「仲春」も大接戦の末、何とたつみさんの句が二句とも一位となった。席題は時間も限られたせいか「結ぶ」がらみの句が圧倒的に多かった。
雑詠は今回二句選に増やした結果特定の句に偏ることなく幅広く平均して選ばれた。残念ながら今回は私も含めて誤字脱字それから清記間違いが目についた。投句は提出前に、読み取りやすい字で書き、字の間違いがないか一字一句確認したい。清記についても書き終えたら、写し漏れ、写し間違いがないかどうかこちらも確認したい。
*席題「結」
◎靴ひもを結ぶ背中や水温む たつみ
玄関で登校を見送る母親の姿が目に浮かぶ。「水温む」が程よく効いており、中七の「背中」に母親の温かい視線も感じられる。
◎髪結びうでまくりして風光る 麦
引っ越しの光景と思われるとの声も出た。「髪結び」と「腕まくり」でこれからさあやるぞといった決意みたいなものが感じられる。
◎吃と結ぶ錆色の口駒に花 下駄麿
個展への挨拶句と思われる。錆びた鉄で作った駒の雰囲気がよく出ている。ただ個展を見ていない人にはよく分からないかも知れない。
〇春日和結びを持って川原へ 走波
いかにも春らしい、素直で平明な分かりやすい句である。最近は河川の整備が進んで、このようなところが少なくなってきた。
〇靴紐を結び直して新学期 六星
靴紐を結んでいるあどけない様子が目に浮かぶ。ピカピカのランドセルまで見えてくる。ただ、「靴紐を結び直して」はよく使われている言葉なので使い方に注意したい。
〇結ぶ手の成長願う雛飾り 厚子
「雛飾り」を前にして一家団らんの雰囲気がよく出ている。来年再来年への思いも伝わって来る。
〇結論は何よとつめよる春の夕 りう子
誰かを問い詰めている様子がよく伝わって来る。問い詰めながらも「春の夕」にやわらかさも感じられる。
〇蝶結びついに崩れて春泥へ 新治
靴紐が解けてゆく様子をユニークに写生している。ただ経過を説明しているので、伝わって来るものが少ない。
*雑詠(仲春)
◎貝寄せや離島赴任の姉送る たつみ
感情移入せず、平明に分かりやすく情景だけを述べているので、ことさらお姉さんを見送る切なさや様々な思いがすっと伝わって来る。「貝寄せ」も別れの情景を程よく引き立てている。
◎対岸に走る人あり風光る たつみ
春らしい光景の一コマ。ただ中七の「走る人あり」の「あり」は入れなくても「走る人」だけで分かるので不要と思われる。
〇春宵や金継ぎの金なまめかし 走波
金継ぎの金には独特な色があるようだ。作者はなまめかしいと感じたようだが、ちょっと様子が分かりにくいかも知れない。
〇仏壇に色鮮やかな黄水仙 厚子
仏壇が黄水仙によってぱっと明るくなっている様子が目に見える。ただ中七の「色鮮やかな」まで言わなくても黄水仙だけで分かるので、別な言葉で具体的な様子を表現した方が良いと思われる。
〇啓蟄や出動待ちの消防署 茂樹
何もなければ消防車は消防署に待機して並んでいるが、その様子が何かの虫のようで生き生きした感じに見えてきた。
〇春の潮ボトルメールの流れ着く ねむ女
ボトルメールに何が書かれているか興味がそそられる。いつどこでどこからという所にも想像が膨らむ。
*次回予定
日時 四月八日(日)十八時~二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題(蛙一切
)を一句と当季雑詠を二句
(茂樹 記)


カモメの句会報は代表の茂樹さんがいつもまとめてくださいます。
句会報を楽しみに読んでくださっているみなさま、いつもありがとうございます。
メンバーの朋子さんがちょっと病院で欠席だったから今日、無理くり「席題は 結 だから三十分でお返事を!」とメールしました、笑。
雑詠 天空の庭に馴染みの春すずめ 朋子
席題 春の陽や結んだ手と背照らしけり 朋子
おまけのアトム

「今日は太極拳の日じゃけ!」とママンがゆうたけ俺は太極拳しよるとこへ行ったんよ。場所知っとるんよ。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)

席題 「結」 (清記逆順列記)
◎靴ひもを結ぶ背中や水温む たつみ
口元を固く結びて春一番 華院
〇春日和結びを持って川原へ 走波
〇靴紐を結び直して新学期 六星
うら結びこれで完成春個展 風外
◎髪結びうでまくりして風光る 麦
◎吃と結ぶ錆色の口駒に花 下駄麿
〇結ぶ手の成長願う雛飾り 厚子
〇結論は何よとつめよる春の夕 りう子
〇蝶結びついに崩れて春泥へ 新治
ピカソとも結界めく絵兜太の忌 茂樹
雑詠(仲春)
◎貝寄せや離島赴任の姉送る たつみ
◎対岸に走る人あり風光る たつみ
春の鳥砂浴びくらい好きにせよ 華院
黙考をかき乱されて春疾風 華院
蕗味噌や炊きたての飯あればよし 走波
〇春宵や金継ぎの金なまめかし 走波
チャーハンの昼飯午後の春うらら 六星
百年の歳を重ねた雛座る 六星
すけし白食欲そそる干鰈 風外
残雪の大山見たり句も作れ 風外
カレンダー一枚めくれば下萌ゆる 麦
永き日や花の冠のできる頃 麦
春紡ぐ啓太郎の弓アマポーラ 下駄麿
![images[2]](https://blog-imgs-120-origin.fc2.com/r/i/r/riri28/2018030923401167e.jpg)
錆色のため息聞くや春の宵 下駄麿
卒業式窓の外には雲流る 厚子
〇仏壇に色鮮やかな黄水仙 厚子
つややかに桜の枝のなまめかし りう子
春の瀬戸鏡面の海に静止せり りう子
春愁やレンガの壁のあみだくじ 新治
相輪の影のたゆたひ水温む 新治
〇啓蟄や出動待ちの消防署 茂樹
三月や鼻息荒き牝馬の絵 茂樹
〇春の潮ボトルメールの流れ着く ねむ女
五色のゼリーポンチや春燈 ねむ女
(句会寸描)
*席題「結」は大接戦の末、たつみさんと麦さんと下駄麿さんが一位を分け合った。雑詠「仲春」も大接戦の末、何とたつみさんの句が二句とも一位となった。席題は時間も限られたせいか「結ぶ」がらみの句が圧倒的に多かった。
雑詠は今回二句選に増やした結果特定の句に偏ることなく幅広く平均して選ばれた。残念ながら今回は私も含めて誤字脱字それから清記間違いが目についた。投句は提出前に、読み取りやすい字で書き、字の間違いがないか一字一句確認したい。清記についても書き終えたら、写し漏れ、写し間違いがないかどうかこちらも確認したい。
*席題「結」
◎靴ひもを結ぶ背中や水温む たつみ
玄関で登校を見送る母親の姿が目に浮かぶ。「水温む」が程よく効いており、中七の「背中」に母親の温かい視線も感じられる。
◎髪結びうでまくりして風光る 麦
引っ越しの光景と思われるとの声も出た。「髪結び」と「腕まくり」でこれからさあやるぞといった決意みたいなものが感じられる。
◎吃と結ぶ錆色の口駒に花 下駄麿
個展への挨拶句と思われる。錆びた鉄で作った駒の雰囲気がよく出ている。ただ個展を見ていない人にはよく分からないかも知れない。
〇春日和結びを持って川原へ 走波
いかにも春らしい、素直で平明な分かりやすい句である。最近は河川の整備が進んで、このようなところが少なくなってきた。
〇靴紐を結び直して新学期 六星
靴紐を結んでいるあどけない様子が目に浮かぶ。ピカピカのランドセルまで見えてくる。ただ、「靴紐を結び直して」はよく使われている言葉なので使い方に注意したい。
〇結ぶ手の成長願う雛飾り 厚子
「雛飾り」を前にして一家団らんの雰囲気がよく出ている。来年再来年への思いも伝わって来る。
〇結論は何よとつめよる春の夕 りう子
誰かを問い詰めている様子がよく伝わって来る。問い詰めながらも「春の夕」にやわらかさも感じられる。
〇蝶結びついに崩れて春泥へ 新治
靴紐が解けてゆく様子をユニークに写生している。ただ経過を説明しているので、伝わって来るものが少ない。
*雑詠(仲春)
◎貝寄せや離島赴任の姉送る たつみ
感情移入せず、平明に分かりやすく情景だけを述べているので、ことさらお姉さんを見送る切なさや様々な思いがすっと伝わって来る。「貝寄せ」も別れの情景を程よく引き立てている。
◎対岸に走る人あり風光る たつみ
春らしい光景の一コマ。ただ中七の「走る人あり」の「あり」は入れなくても「走る人」だけで分かるので不要と思われる。
〇春宵や金継ぎの金なまめかし 走波
金継ぎの金には独特な色があるようだ。作者はなまめかしいと感じたようだが、ちょっと様子が分かりにくいかも知れない。
〇仏壇に色鮮やかな黄水仙 厚子
仏壇が黄水仙によってぱっと明るくなっている様子が目に見える。ただ中七の「色鮮やかな」まで言わなくても黄水仙だけで分かるので、別な言葉で具体的な様子を表現した方が良いと思われる。
〇啓蟄や出動待ちの消防署 茂樹
何もなければ消防車は消防署に待機して並んでいるが、その様子が何かの虫のようで生き生きした感じに見えてきた。
〇春の潮ボトルメールの流れ着く ねむ女
ボトルメールに何が書かれているか興味がそそられる。いつどこでどこからという所にも想像が膨らむ。
*次回予定
日時 四月八日(日)十八時~二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題(蛙一切

(茂樹 記)



句会報を楽しみに読んでくださっているみなさま、いつもありがとうございます。
メンバーの朋子さんがちょっと病院で欠席だったから今日、無理くり「席題は 結 だから三十分でお返事を!」とメールしました、笑。
雑詠 天空の庭に馴染みの春すずめ 朋子
席題 春の陽や結んだ手と背照らしけり 朋子
おまけのアトム

「今日は太極拳の日じゃけ!」とママンがゆうたけ俺は太極拳しよるとこへ行ったんよ。場所知っとるんよ。
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