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十月の俳句会、ポッポー!

2017年10月14日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第三十八号(平成二十九年十月)

十月八日(日)、秋らしくなってきたなあと思っていたら、半袖でも十分過ごせるほどの暑さになった。木村國夫さんの「個展」の会場をお借りして、初参加の木村國夫さん(俳号ヒゲゴジラさん)と欠席投句の新治(旧志路)さんを含め十四名の参加者で六時過ぎに、いつものように始まった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)

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兼題「鉄道一切」       (清記逆順列記)

橋越せば警笛鳴りて上り月        華院
行く秋をTRAIN(トラン)R(ル)О(ー)UGE(ジュ)で舌鼓   幸音
晩秋やドクターイエローはしゃぐ君    厚子
◎駅ひとつ手前で降りて萩の道       りう子
踏切の錆びたレールと鰯雲        風外
猫の仔が鼻寄せるかな鉄道草       下駄麿
沿線のコスモス揺らし風走る       六星
駅過ぎてふっと目が覚めよだれ拭く    ヒゲゴジラ
風の吹くまま汽車に乗れよとねこじゃらし 麦
エスエルや刈田の続く津和野まで     走波
○廃線の行きつく先や蟲の聲       ねむ女
名月や通勤快速帰らばや         かかし
○単線の汽車待つホーム地虫鳴く      茂樹
○夜寒かなパンタグラフに散る火花     新治(旧志路)


雑詠(晩秋)      
                                         
文法書紐解き詠める宣長忌        華院
○光受け満天星紅葉燃えたぎる       幸音
〇我を待つ野良猫の背に後の月       厚子
銀杏の翡翠のごとく色深く        りう子
松茸やシャネル五番も香りだけ      風外
〇ガード下仔ネコ駆け抜け秋時雨      下駄麿
イガグリや双子の坊の可愛いくて     六星
◎晩秋のちょっとぶるぶる猫を抱く     ヒゲゴジラ
◎ぐい吞みをあれこれ集めて新走り     麦
○からすうり巻きつく橋を渡りけり     走波
○月光の野辺にコリーの暴れたる      ねむ女
◎渡り鳥鯉城のお堀にぎやかに       かかし
一(広)、(島)二軍(カープ)ともに優勝豊の秋        茂樹
◎等分とはならず無花果半分こ       新治(旧志路)


      (句会寸描)

*兼題「鉄道一切」は頭一つ抜けて、りう子さんが一位となった。雑詠「晩秋」は大接戦となり、ヒゲゴジラさん、麦さん、かかしさん、新治さんが一位を分け合った。兼題はバラエティーに富んだ作品が揃った。雑詠は選が分散したがそれだけ好みの差が細かく分かれたとも云える。全般的には見たままの報告だけでなく表現に工夫がみられる句も数多く見受けられた。


*兼題「鉄道一切」

◎駅ひとつ手前で降りて萩の道       りう子
 萩の道を独り占めして、ゆっくりと楽しみたいという感じが伝わってくる。今を盛りの萩が美しく舞っている様子も想像できる。

○廃線の行きつく先や蟲の声        ねむ女
 「廃線」と「蟲の声」が上手く響き合っている。特に「虫」を「蟲」としたところに措辞の工夫の跡がみられる。もう既に廃線となり、レールには草ぼうぼうのようなところを詠んでいるとの声も聞かれた。

○単線の汽車待つホーム地虫鳴く      茂樹
 長い時間ホームで汽車を待つのは退屈であるが虫の声が心を和ませる。

○夜寒かなパンタグラフに散る火花     新治(旧志路)
 全体的に晩秋のやや寒くなった夜の感じが出ていると思う。ただ、上五の「夜寒かな」というような言葉は下五に持ってきた方が落ち着くと思われる。



*雑詠(晩秋)

◎晩秋のちょっとぶるぶる猫を抱く     ヒゲゴジラ
 中七の「ちょっとぶるぶる」にユーモアと「猫」に対する愛情を感じさせる。

◎ぐい吞みをあれこれ集めて新走り     麦
 どんな「ぐい吞み」のコレクションをお持ちなのでしょうか。「ぐい吞み」と「新走り」がちょっと付きすぎのような気もする。

◎渡り鳥鯉城のお堀にぎやかに       かかし
 渡り鳥の様子がストレートに伝わってきます。ただ見慣れた光景なので下五の「にぎやかに」にもうひと工夫ほしいところです。

◎等分とはならず無花果半分こ       新治(旧志路)
 「無花果」の特徴をよく捉えている。「半分こ」もユーモラスで面白い。

○光受け満天星紅葉燃えたぎる       幸音
 「満天星紅葉」の鮮やかさが目に見えるようです。下五の「燃えたぎる」はいわずとも「満天星紅葉」の中に含まれているので、別な表現が望ましい。

〇我を待つ野良猫の背に後の月       厚子
 「野良猫」と「後の月」の取り合わせもうまくかみ合っている。下五を「良夜かな」とか「今日の月」とか見たままにしなかったところに作者の工夫の跡がみられる。

〇ガード下仔ネコ駆け抜け秋時雨      下駄麿
 一見よく見る光景であるが、気重なりとなる「子猫」(春の季語)を「子ネコ」と書き換えて「秋時雨」の引き立て役にしているところが巧みである。

○からすうり巻きつく橋を渡りけり     走波
 はっきりした景が目に浮かび、リズムも良い。作者によると「実際に見た情景は、からすうりは橋の脇に生えていただけで、橋には巻き付いていなかった」そうです。季語を生かした推敲が見事です。

○月光の野辺にコリーの暴れたる      ねむ女
 「月光」と「コリー」の意外な取り合わせが新鮮である。それだけに下五の「暴れたる」の少し乱暴な表現が惜しまれる。




*次回予定

日時 十一月五日(日)十八時~二十時 
場所 カモメのばぁばぁ
投句 席題(当日)と雑詠(初冬)を一句ずつ
 
                   (茂樹 記)






おまけのアトム

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すっかり秋っぽいお散歩小道。


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