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茂樹さんの句会報 【六月】

2017年06月08日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第三十四号(平成二十九年六月)

六月四日(日)、梅雨入り間近となったが今日も五月のような良い天気となった。中村啓太郎さんの作品展の会場をお借りして、初めての今津ねむ女さんと中村啓太郎さんを含め十四名(うち、風外さんは欠席投句)の参加者で六時過ぎに、いつものように始まった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)

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兼題 「黴」           (清記逆順列記)

黒黴をこそぎて昼のお風呂かな      華院
○ため息のいきつく先や黴たパン      朋子
ペニシリン黴も頭も使いよう       幸音
食パンの水玉の黴眺めをり        六星
黴の香やなにやら御座す蔵の中      下駄麿
初めての世界新鮮一つ黴         啓太郎
祖父愛でし茶器にうっすら黴生へり    賀芽羅
うかうかと黴を生やしてしまひけり    ねむ女
◎世に背き黴は暗所でレース編む      麦
辞書めくる黴の香りのノスタルジー    走波
青黴を指で除けチーズ肴かな       かかし
黴の書に少女漫画も加われり       志路
落書きの多き土蔵の黴にじむ       茂樹
嫌なカビ未来は癌に勝てるかも      風外
                               

雑詠(仲夏)

◎どくだみや主なき園覆ひ咲き       華院
○三叉路に行先決めぬ夏の蝶        朋子
雨蛙瞳に映る空の青           幸音
◎水無月の少女の背(せな)の蝶結び        六星
◎アッそうねカクンカックン扇風機     下駄麿
○横川で君の横顔アイスティー       啓太郎
梅雨空やペインズグレーにじませて    賀芽羅
茅花の穂抜くとふ果てしなき遊び     ねむ女
○端居してひみつごとなど語り出づ     麦
○世辞を言う私が嫌い立葵         走波
鰹売り戸口でさばく活き命        かかし
◎透くほどにシャツの白くて雨やどり    志路
お好み焼屋の赤き庇に夏つばめ      茂樹
○ひらがなに蛍の光見えて消え       風外



      (句会寸描)

*兼題の「黴」はややばらけたが、麦さんが一位となり最高点を獲得した。雑詠の「仲夏」は大混戦となり、華院さん、六星さん、下駄麿さん、志路さんが一位を分け合った。兼題、雑詠とも新鮮で独創的な句が目についたが、特に雑詠は選が細かく割れるほど魅力溢れる句が多かった。この句会を始めてから二年半ほど経つが、月並みの常套句に陥ることなく、これまでのように常に新鮮な目でその人なりの表現を心掛けたい。


*兼題 「黴」

◎世に背き黴は暗所でレース編む      麦
中七下五の「黴は暗所でレース編む」は独創的で今までになく明るく黴を詠んでいるところは大いに評価できる。「レース編む」が入り季重なりではあるが比喩的に使った言葉なので余り気にならない。ただ上五の「世に背き」という少し大げさな思いの表現が惜しまれる。

○ため息のいきつく先や黴たパン      朋子
日常のありがちな光景を上手く切り取ってさりげなく詠んでいる。「黴たパン」を見ている作者の思いにいろいろと想像が掻き立てられる。ただ、中七の「いきつく先や」の「や」を「の」にすれば問題はないが「や」と切れ字を使っているので「黴たパン」は「黴しパン」としたいところである。


*雑詠(仲夏)

◎どくだみや主なき園覆ひ咲き       華院 
 最近の空き家の庭の風景を思わせる。「どくだみ」の景がよく見えてくるが、下五の「覆ひ咲き」の「咲き」は「どくだみ」の言葉だけで咲いていることが分かるので不要と思われる。

◎水無月の少女の背(せな)の蝶結び        六星
 少女の背中に焦点を絞ったところと「水無月」との取り合わせが鮮やかである。とうかさんの吟行句としても風情をよく捉えている。

◎アッそうねカクンカックン扇風機     下駄麿
 中古の扇風機であろうか。扇風機が頷いているようでもありユーモラスな感じがする。

◎透くほどにシャツの白くて雨やどり    志路
 清らかな瑞々しさがよく伝わってくる。ただ「白シャツ」に比べて「シャツの白くて」の表現は少し季語が弱いような気がする。

○三叉路に行先決めぬ夏の蝶        朋子
 「夏の蝶」と作者自身をダブらせているようなところに、何かしら映画のワンシーンになりそうな情景が目に浮かぶ。

○横川で君の横顔アイスティー       啓太郎
 リズムがよくいろいろと想像させる句である。「横川」と「横顔」の横のリフレインも心地よい。ただ「横川で」の「で」は話し言葉のようで少し気になる。

○端居してひみつごとなど語り出づ
 昭和の頃は、どこの家も夕涼みもかねて端居していたが、この頃は家が洋風化したこともあり、ほとんど見かけなくなった。「ひみつごとなど」語る相手もいないかも知れない。

○世辞を言う私が嫌い立葵         走波
 「立葵」がよく効いている。誰しもありがちな思いをストレートに表現している。

○ひらがなに蛍の光見えて消え       風外
 見たままの光景であるが、「ひらがな」を照らす「蛍の光」にやさしさが感じられる。


*次回予定

日時 七月二日(日)十八時~二十時 
場所 カモメのばぁばぁ
投句 席題と雑詠(晩夏)を一句づつ
 
            (茂樹 記)
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