五月は吟行(ぎんこう)でした。
2017年05月10日
「夜の美術館」句会報第三十三号(平成二十九年五月)
五月七日(日)、ゴールデンウィークの最終日は絶好の吟行日和となって、午後三時に平和公園の噴水前に六名が集まりスタートした。句会の方は福井誠さんの作品展の会場をお借りして、飛び入りで来られた賀が芽め羅らさんを含めて十一名(うち咲華さんと幸音さんは欠席投句)の参加者で六時過ぎに、いつものようにはじまった。(下駄麿さんは、吟行に間に合わなかったため見学のみとなった。)
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
*平和公園吟行 (清記逆順列記)

緑蔭に入りて背中に小枝落つ 華院
慰霊碑の水に遊べる烏かな 華院
緑さす川穏やかに今を流るる 走波
川風に木々ざわめきて夏立ちぬ 走波
薫風にフワリ千羽の鶴の飛ぶ 六星
草刈りの匂い祈りの人の列 六星
夏立ちぬ路面電車に君ひとり 賀芽羅(がめら)
鐘鳴りて新樹のケヤキここに立つ 賀芽羅(がめら)
○多国語の行き交う公園夏衣 麦
雑草の生えたるドーム走馬燈 麦
往き交うも薔薇一輪に足を止め 厚子
噴水や雀水浴び我涼み 厚子
雨蛙強き鳴声明日雨か かかし
夏の蝶高く低くに二羽が舞ひ かかし
◎なほ白く舗石耀ふ薄暑かな 志路
青葉風折り目正しき千羽鶴 志路
○被爆ドームの窓すり抜くる夏つばめ 茂樹
失恋の記憶ふたたび針槐 茂樹
皐月空水面にうつり風くだる 咲華
縁起物へびのぬけがら金たまる 咲華
穏やかにたたずむドーム青葉映ゆ 幸音
愛に満ちアンネの薔薇は空あおぐ 幸音
(句会寸描)
*久しぶりの吟行句会となったが、一位に輝いたのはまたしても志路さんだった。志路さんは、当日の吟行には一緒に参加していなかったが事前に平和公園をイメージして詠まれた句のようである。
皆さん吟行句らしく、様々な情景を詠んでいるが、反面当事者しか分からないような句も数多く見受けられた。限られた時間の中で推敲するのは難しいかもしれないが、基本は誰がみても分かりやすい(理解しやすい)句にしなければならないと思う。
*平和公園吟行
◎なほ白く舗石耀ふ薄暑かな 志路
中七と下五は季語との取り合わせも程よく、「舗石」という言葉の選択も素晴らしく調べも良い。それに比べて上五の「なほ白く」は間に合わせにつけた感があり、意味づけをしてしまったのが惜しまれる。
○多国語の行き交う公園夏衣 麦
当日の晴れ晴れとした公園の初夏の雰囲気をよく捉えている。「多国語の」で国際色豊かなことが分かり、下五の「夏衣」で外国人特有の短パン、Tシャツ、はたまたサングラスまで見えてくる。中七が八音になっているが、リズムが良いので余り気にならない。
○被爆ドームの窓すり抜くる夏つばめ 茂樹
あの原爆ドームにも春夏秋冬が毎年巡ってくるが、今年も初夏を迎えて夏つばめが気持ちよさそうに飛んでいた。これも今、平和ならではの一つの景か。
*次回予定
日時 平成二十九年六月四日(日)十八時~二十時
場所 「カモメのばぁばぁ」
投句 兼題「黴」と雑詠「仲夏」を一句ずつ
(茂樹 記)
五月七日(日)、ゴールデンウィークの最終日は絶好の吟行日和となって、午後三時に平和公園の噴水前に六名が集まりスタートした。句会の方は福井誠さんの作品展の会場をお借りして、飛び入りで来られた賀が芽め羅らさんを含めて十一名(うち咲華さんと幸音さんは欠席投句)の参加者で六時過ぎに、いつものようにはじまった。(下駄麿さんは、吟行に間に合わなかったため見学のみとなった。)
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
*平和公園吟行 (清記逆順列記)

緑蔭に入りて背中に小枝落つ 華院
慰霊碑の水に遊べる烏かな 華院
緑さす川穏やかに今を流るる 走波
川風に木々ざわめきて夏立ちぬ 走波
薫風にフワリ千羽の鶴の飛ぶ 六星
草刈りの匂い祈りの人の列 六星
夏立ちぬ路面電車に君ひとり 賀芽羅(がめら)
鐘鳴りて新樹のケヤキここに立つ 賀芽羅(がめら)
○多国語の行き交う公園夏衣 麦
雑草の生えたるドーム走馬燈 麦
往き交うも薔薇一輪に足を止め 厚子
噴水や雀水浴び我涼み 厚子
雨蛙強き鳴声明日雨か かかし
夏の蝶高く低くに二羽が舞ひ かかし
◎なほ白く舗石耀ふ薄暑かな 志路
青葉風折り目正しき千羽鶴 志路
○被爆ドームの窓すり抜くる夏つばめ 茂樹
失恋の記憶ふたたび針槐 茂樹
皐月空水面にうつり風くだる 咲華
縁起物へびのぬけがら金たまる 咲華
穏やかにたたずむドーム青葉映ゆ 幸音
愛に満ちアンネの薔薇は空あおぐ 幸音
(句会寸描)
*久しぶりの吟行句会となったが、一位に輝いたのはまたしても志路さんだった。志路さんは、当日の吟行には一緒に参加していなかったが事前に平和公園をイメージして詠まれた句のようである。
皆さん吟行句らしく、様々な情景を詠んでいるが、反面当事者しか分からないような句も数多く見受けられた。限られた時間の中で推敲するのは難しいかもしれないが、基本は誰がみても分かりやすい(理解しやすい)句にしなければならないと思う。
*平和公園吟行
◎なほ白く舗石耀ふ薄暑かな 志路
中七と下五は季語との取り合わせも程よく、「舗石」という言葉の選択も素晴らしく調べも良い。それに比べて上五の「なほ白く」は間に合わせにつけた感があり、意味づけをしてしまったのが惜しまれる。
○多国語の行き交う公園夏衣 麦
当日の晴れ晴れとした公園の初夏の雰囲気をよく捉えている。「多国語の」で国際色豊かなことが分かり、下五の「夏衣」で外国人特有の短パン、Tシャツ、はたまたサングラスまで見えてくる。中七が八音になっているが、リズムが良いので余り気にならない。
○被爆ドームの窓すり抜くる夏つばめ 茂樹
あの原爆ドームにも春夏秋冬が毎年巡ってくるが、今年も初夏を迎えて夏つばめが気持ちよさそうに飛んでいた。これも今、平和ならではの一つの景か。
*次回予定
日時 平成二十九年六月四日(日)十八時~二十時
場所 「カモメのばぁばぁ」
投句 兼題「黴」と雑詠「仲夏」を一句ずつ
(茂樹 記)
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