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三月のカモメ句会

2017年03月09日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第三十一号(平成二十九年三月)

三月五日(日)、雛祭も終わり、だいぶ春らしくなってきた。ヤブフスキーさんの作品展の会場をお借りして、十四名(うち、咲華さんは欠席投句)の参加者で六時過ぎに、いつものようにはじまった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)


兼題「卒業」           (清記逆順列記)

卒業のTL(ティーエル)時(とき)と過ぎゆきて      華院  
  (タイムライン(TL)とは、他人や自分のツイートが表示されている画面。 ツイッターを開くと一番最初に表れる画面のことです。)
自分色フリースクール卒業す       判字名                       
卒業のうたが今宵の肴かな        朋子             
卒園の笑顔可愛や孫探し         六星         
泣き笑い卒業だから親と子が       風外             
ええ年で卒業せんにゃ宮島も       下駄麿
卒業す吾子の横顔逞しき         幸音
ふり向きて学舎想ふ卒業歌        厚子
○卒業の日付記されし国語辞書       麦
通学路親と離れて卒業子         走波
卒業や同期の絆果つるまで        かかし
◎卒業歌強がってゐる男の子        志路
今も尚卒業式の時計台          茂樹
賞状の筒のりぼん色褪せる        咲華
                               


雑詠(仲春)

庭先を払ひて朧月夜かな         華院 
◎春灯し学習塾に靴数多        判字名
◎桜餅関西風を三つほど          朋子
啓蟄や穴から雲を覗きけり        六星
土筆だと書きし作家は俳人か       風外            
お遍路の残り香運ぶ海峡線        下駄麿
白き光放ち龍天に登る          幸音
春分の家路に影の差す夕べ        厚子
◎菜の花を賞でて描いて菜花寿司      麦
○主人のみやげコンビニの桜餅       走波              
◎朧月潮が満ちたる雁木かな        かかし
◎妹は東へ嫁ぎ雛納む           志路
◎遅き日や色えんぴつを走らせて      茂樹
二月堂澄みきる空気読経聴く       咲華




(句会寸描)

*兼題の「卒業」は三つの句に点が集中したが、その中で志路さんが一位となり最高点を獲得した。雑詠の「仲春」は今までにない大激戦で何と判字名さん、朋子さん、麦さん、かかしさん、志路さんと茂樹の六名が一位を分け合った。兼題については、今現在を詠むのに皆さん苦労されたようだ。雑詠については、競合する句があまり見うけられず、その分点が分散した。全般的には、俳句の基本である有季(季語を入れる)定型(五・七・五)を逸脱した句が少し目についた。特に「二月堂」は季語ではないので十分注意したい。


*兼題「卒業」

◎卒業歌強がってゐる男の子        志路
「卒業歌」を最後まで強がりを通して歌っている男の子の表情まで目に浮かぶようだ。

○卒業の日付記されし国語辞書       麦
一読して作者が卒業したころを懐かしんでいる様子が見えてくる。ただ、今現在の季節感があまりないのが、惜しまれる。


*雑詠(仲春)

◎春灯し学習塾に靴数多        判字名
 さぞ賑やかな学習塾であろう。ただ、このような情景を詠んだ句は多く見受けられるので、類句類想に十分注意したい。

◎桜餅関西風を三つほど         朋子
 中七の「関西風」が良い。私も道明寺の方が断然好きです。「三つほど」とは、買った数か、食べた数か・・・。

◎菜の花を賞でて描いて菜花寿司      麦
下五の「菜花寿司」がユニークである。春の勢いを感じさせる句である。「賞でて描いての「て」の繰り返しが少し気になる。

◎朧月潮が満ちたる雁木かな        かかし
瀬戸内の春の夜景の特徴をよく捉えている。ただ中七の「潮が満ちたる」の「が」が散文的なので「の」にした方が調べが整うように思われる。

◎妹は東へ嫁ぎ雛納む           志路
 感情を抑えて平明に詠まれているだけに、かえって作者の寂しく切ない気持ちがよく伝わってくる。

◎遅き日や色えんぴつを走らせて      茂樹
 めっきり日が長くなってきたが、絵描きさんが一生懸命に色えんぴつを走らせていた。

○主人のみやげコンビニの桜餅       走波
 「七・五・五」の破調の句であるが、それによって「コンビニの桜餅」が程よく強調されて、ユーモラスな句になっている。



*次回予定

日時 平成二十九年四月二日(日)十八時~二十時 
場所 「カモメのばぁばぁ」
投句 席題と雑詠「晩春」をそれぞれ一句ずつ
 
                   (茂樹 記)






おまけのアトム

遅き日や色えんぴつを走らせて   茂樹

この句は、茂樹さんが句会当日カモメに来られた夕ぐれ時に、たなかさとしさんがアトムの絵をさらさらと描いておられ、その場で詠まれたものです。
遅き日が、春の季語なんだそうです。勉強になりました!


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アトム欠勤の為、何も見ずに描いてくれました。

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アトムは東北の大震災の時に東京のホームセンターから広島に来たから今6歳です。

茂樹さん、さとし君、ありがとう~!



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