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句会納は、凩で。(凧ではありません、こがらし)

2016年12月10日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報 第二八号(平成二十八年十二月)

十二月四日(日)、句会後には忘年会も開かれ年の瀬らしい雰囲気となった。津川洋子さんと上田小百合さんの作品展の会場をお借りして、十六名(洋子さんと小百合さんは初登場、欠席投句二名)の参加者で六時過ぎに、いつものようにはじまった。(遅れて来られた空心さんは見学のみとなった)
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)


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兼題「凩」           (清記逆順列記)

木枯しに向かひて目指すケーキかな    華院                         
木枯しに抗ふやうにシャボン玉吹く    りう子                   
木枯らしや曲がる角には猫二匹      厚子             
◎凩のまいまい風の行き止まり       走波         
凩や雲吹き飛ばせ天(そら)青し       六星
句が出来ぬ木枯のごと散ざんと      風外
雪の音木枯らしカラシ目がひりり     洋子
ああ我が地こがらしさえもいとおしく   小百合
凩に乗りたる葉渦をかき         幸音
○木枯しが弾くアダージォ電車路      釜爺                          
◎凩に攫ってほしい過去もある       麦             
凩よ音戸の渡船繰る人と         かかし
◎凩を背せなに鎮めて父帰る          判字名
木枯しや佐々木小次郎像の剣       茂樹
木枯しや陽だまり照らし置きみやげ    咲華
○凩やパン屑鳩を飛び越えて        志路


当季雑詠 (仲冬)
◎生姜湯の湯呑両手で押さへたる      華院 
◎毒々しいポインセチアの売られけり    りう子                                                
○湯たんぽの温もり解けぬ朝七時      厚子
○まな板の無数の傷や寒の入り       走波
○黒猫と孤独の入りしコタツの夜      六星      
寒椿香る夜空に待ちぼうけ        洋子
仲冬と聞けば悲しき安芸門徒       風外
ころがるころがれま白に我が子らよ    小百合
○誰が食う聖菓の上のサンタさん      幸音
どてら着る山賊小屋の毛脛かな      釜爺
◎冬ざれて野は一面の風の骨        麦      
○遠い日の仕来り想い年用意        かかし
○風花やノーベル賞にボブ・ディラン    判字名
ギャラリーの展示賑はひ百合鷗      茂樹
○白い息見上げた空に冬の雲        咲華
○コート脱ぐ一つの戦終へるごと      志路



  (句会寸描)

*席題の「凩」は激戦の結果、走波さん、麦さん、判字名さんの三名が一位となり最高点を獲得した。雑詠の「仲冬」はこちらも選が割れて華院さん、りう子さん、麦さんの三名が一位となった。今回は席題、雑詠ともそれぞれ個性的な句が並び、特に雑詠は、選がかなりまんべんなく分散した。


*兼題「凩」

◎凩のまいまい風の行き止まり       走波
中七の「まいまい風の」に温かな雰囲気がある。作者によると幼いころ、まいまい風がよく吹いていたそうである。

◎凩に攫ってほしい過去もある       麦
心情をさらっと表現している。共感の持てる句であるが、類似句も多いのでもう一工夫欲しい。

◎凩を背せなに鎮めて父帰る          判字名
 ちょっと任侠的な雰囲気のする句である。昭和を感じさせるところもあり、古い世代には懐かしい感じがする。

○木枯しが弾くアダージォ電車路      釜爺
 作者曰く、木枯しの中電車の架線がこすれてゆったりとした音が聞こえている様子を句にしたそうである。「木枯し」と音楽を結びつけたところが面白い。

○凩やパン屑鳩を飛び越えて        志路
 木枯しをユーモラスに詠んだところが、斬新である。鳩の面食らっている様子が目に浮かぶ。


*当季雑詠(仲冬)

◎生姜湯の湯呑両手で押さへたる      華院
 中七から下五にかけての「両手で押さへたる」で寒い雰囲気がよく出ている。何気ない日常のひとこまをうまく観察している。

◎毒々しいポインセチアの売られけり    りう子
「ポインセチア」を「毒々しい」と捉えたところに作者独特の鋭い感性を感じた。「雉の眸のかうかうとして売られけり(加藤楸邨)」の句をふと思い出した。

◎冬ざれて野は一面の風の骨        麦
下五の「風の骨」で寒々しい雰囲気を強く感じさせる。ただ上五の「冬ざれて」は少し説明的で「冬ざれや」で切った方がすっきりすると思われる。

○湯たんぽの温もり解けぬ朝七時      厚子
 ここ数年「湯たんぽ」を使う人が増えたと聞く。「湯たんぽ」という言葉の響きも暖かく感じる。ただ下五の「朝七時」と数字を入れる意味があるのかという疑問の声も聞かれた。

○まな板の無数の傷や寒の入り       走波
 「寒の入り」にはちょっと早すぎるが、この感じがよく分かると主婦目線で共感を得た。ただ中七の「無数の傷」の無数が気になるとの声も聞かれた。

○黒猫と孤独の入りしコタツの夜      六星
 一人居の冬の佇まいを淡々と詠んでいる。ただ「コタツ」は外来語ではないので「炬燵」もしくは「こたつ」と表現した方がよいと思われる。

○誰が食う聖菓の上のサンタさん      幸音
 クリスマスらしいほのぼのとしたユーモラスな句である。いろいろな情景が目に浮かぶ。

○遠い日の仕来り想い年用意        かかし
 幼いころの「仕来り」を懐かしく思い出し、今は子供たちと新年の準備をしている様子が想像できる。

○風花やノーベル賞にボブ・ディラン    判字名
 「ボブ・ディラン」が歌っている「風に吹かれて」を踏まえて句にされたようだ。私も同じ時代を生きてきたが、「風花」は「ボブ・ディラン」とよく馴染んでいると思う。


○白い息見上げた空に冬の雲        咲華
 情景のよく見えてくる句である。ただ、季語が「白い息(息白し)」と「冬の雲」の二つになっているので、どちらか一つに絞ってまとめられた方がよいと思われる。

○コート脱ぐ一つの戦終へるごと      志路
 一仕事を終えての安ど感がうかがい知れる。作者にとって職場はまさに戦場そのもの。


*次回予定
日時 平成二十九年一月八日(日)十八時~二十時 
場所 「カモメのばぁばぁ」
投句 「席題」と「新年または晩冬」の句を一句ずつ
 
                   (茂樹 記)


       

今年も一年俳句に親しむ時間と仲間に恵まれました。
茂樹さんとみなさんありがとうございました。
私たちの句会だよりに目を通してくださっているみなさまもありがとうございました。

いざ、来年のカモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会!!


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