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中川置傘  「たまりば」

2011年09月06日
置傘君が絵を描く前に書いていた詩のファイルが置いてある。




キス


食べかけのパンの隣に散らばる様々な成れの果て
気が付けばご飯粒が上着に一粒
今日白米は食べてもいなけりゃ研いでもいない
不可解に思いながらも僕はそれを欲する
ガチガチ震えるみかんの皮のような、味
コップの水にほこりが浮かんでいるのを見つけたらもう飲まない
雑念を振り払うかのように卵を一割
ああなんだよ
このテーブルの上は
未来を感じることができない
未来を汲みとることができない
どうしても皿は洗わなければならないし
テーブルも拭かなければならない
人参とねぎが
かぼちゃと茄子が
うどんが僕に
一斉に愚痴を言ってくるようで
そうしてその食べかけの肉が
僕の首を絞めてくる
無垢な光沢が視覚を刺激する
ナイフとフォークの使い方も知らない僕の喉元に
突きつけられる何もないという空っ風
このテーブルの上に散らばる何かに感情を上乗せしている
風船で空を飛んでるそんなふんわり感に
下を見るなといわれて見てしまった時のあの引きつった顔が
曇り空を連れてきて 顔を覆いつくしていく
こぼれた液体にサランラップが伸びる影
ああどうしても
僕はこのテーブルの上に立つことだけは一生できない
それだけはしちゃいけない
スプーンに映ったさかさまの姿を見つめながら
プチトマトの会に参加する僕
さっき割ったまんま放置されている黄色と白のぐちゃぐちゃが
助けを求めているように見えて泣きたくなった
ああ海老の殻がグロテスクでならない
ああポテトサラダの本当の形が分からない
このテーブルの上の全てが本当に本当に
散らばっているんだ


食べ残すことだけは避けよう
きれいにきれいに
幻であったかのように食道に働きかけ
泡で無かったことにする

無人の片付いたテーブルに僕はこっそり
キスをしている


                    2005.07.08



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水曜、土曜、日曜は終日(10:30~20:00)、作家在廊です。
9月1日(木)~15日(木)まで。

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コメント
No title
長い詩を書ける人尊敬します。
頭の中に言葉の泉があるんじゃないかと思ってしまう。

↓本当にありがとうございます。
予想外の恐縮の極みです(汗

そういえば、こっちでもやってったミッフィー展の絵本の中にもいました。
ハンデのあるうさこちゃん。
でもあのタオルは売ってなかったんだよ~(嬉
どるっち
どるっちも詩とか文章書くのすきでしょ?きっと。
木曜日記・・ってタイトルつけたりして渋いっちゃ!

例の作品はこっちこそ、ありがとごじゃいますです!ほんまに大切な宝物です。

ウサコちゃんのボールペンを買わなかったことを後悔しているこの頃。耳押さえる分。v-530

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