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七月 オノマトペを入れた句

2022年07月12日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第九十四号(令和四年七月) 

今年の梅雨は、あっという間に明けてしまった。「ひとりふたり展 ガタロとあき」の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は飛び入りの山崎遥平(俳号:遥観/ようかん)さんと、欠席投句の二名を含めて十二名となった。


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   (兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)



兼題 「オノマトペを入れた句」  

○戻り梅雨ぽつりぽつりと午後の客  朋子
炎天に死すビニールのイルカきゅう  中中
カチャカチャとサツキ刈る庭池に鯉  遥観
さらさらと夏の雨降る留守居かな  ねむ女
ぶかぶかの浴衣で走る里帰り  厚子
バス待ちのスタバでゆるりアイスティー  走波
◎びょうびょうと大の字ひとり扇風機  愛幸
○さざ波のぽこぽこ寄する月見草  茂樹
○自販機の麦茶ガタンと落ちにけり  六星
チン、チンと貫入の音夏の風  えこ 
シュワシュワと鼻に飛び散るソーダ水  進
太陽がパオッとはじけて夏来たる  麦
 

当季雑詠

◎覚めやらぬ土偶の夢や栗の花  朋子
ジャズの音や真夏の午後を走り抜け  朋子
国芳の髑髏(どくろ)のギロリ夏祭り  中中
父の死のその日も生くる夏草や  中中
百日紅見上げると空に青と紅  遥観
水を張りオケラが泳ぎアメンボも  遥観
ねぢ花のつんつん天を指してをり  ねむ女
夏の宵らるれあんふあんふらんす語  ねむ女
夏燕駅舎の端の手打ちかな  厚子
風死すや貼り付く衣の厚みかな  厚子
早過ぎて明けたる梅雨の空の青  走波
泡立ちて仕事帰りの生ビール  走波
餡蜜の豆をほろりと古乙女  愛幸
陽を浴びてオブジェとなりし猫蚊遣  愛幸
涼しさや水車の雫落つる音  茂樹
蓮の葉の揺らぎ揺らがぬ影帽子  茂樹
花火鳴る仔犬は耳をふさぎけり  六星
汗滲む背中の仕事帰りかな  六星
電柱の細き日陰でバスを待つ  えこ
梅雨曇りバレエスタジオのシルエット  えこ
心太冷やしすぎても旨くなし  進 
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○水打つて小さき空の青さかな  進   
山あいに誰が頬染むや合歓の花  麦
消防車五台連ねて雲の峰  麦
 

(句会寸描)

*兼題の「オノマトペを入れた句」は、僅差で愛幸さんが一位となった。雑詠は朋子さんが一位となった。兼題は、オノマトペが多岐にわたるだけにいろいろと楽しめた。雑詠は、いち早く梅雨が明けたせいか、夏らしい暑さの伝わる句が目についた。



*兼題 「オノマトペを入れた句」

◎びょうびょうと大の字ひとり扇風機  愛幸
「びょうびょうと」のオノマトペはなかなか思いつかない斬新な表現。気持ちよく扇風機を独り占めしている様子が上手く描かれている。

○戻り梅雨ぽつりぽつりと午後の客  朋子
中七の「ぽつりぽつりと」には、「戻り梅雨」の雨の感じと、「午後の客」の様子の、二通りが読み取れる。

○さざ波のぽこぽこ寄する月見草  茂樹
実際に見たのは、昼間の景だったが、夜の情景として鑑賞していただけると雰囲気が増してくるように思う。

○自販機の麦茶ガタンと落ちにけり  六星
「自販機」の数ある飲物の中で「麦茶」は、一番大きくて重い。それ故、勢いよく、大きな音で落ちてくる。



*当季雑詠

◎覚めやらぬ土偶の夢や栗の花  朋子
作者によると青森の吟行句のようだ。西日本ではあまり目にしない「土偶」を目の当たりにし、感動している様子が伝わってくる。

○水打つて小さき空の青さかな  進 
涼し気な辺りの情景と、清々しい青空が広がっている様子が見えてくる。その一日もきっと良い日になりそうな気がする。


*次回予定

日時 八月七日(日)十八時~二十時 
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「枝豆」一句と当季雑詠を二句
 



※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。

投句締切 八月六日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 八月七日(日)
選句締切 八月月十日(水)
選句連絡先 茂樹まで
  
    (茂樹 記)



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