薄暑 五月の俳句会
2022年05月16日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第九十二号(令和四年五月)
ゴールデンウイークの最終日が句会となった。中丸寿絵さんの作品展の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、初めての中丸寿絵さん(俳号:えん白)と欠席投句の四名を含めて十三名となった。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「薄暑」
下校する子等の額に薄暑かな 走波
UVの化粧の小瓶薄暑かな 六星
検査後に寄るは薄暑の美術館 愛幸
フラミンゴ窓から覗く薄暑かな 進
飛び乗りて汗滲みたり薄暑かな 厚子
グランマ・モーゼズ展へ街薄暑 茂樹
順番を待つお好み焼き屋薄暑 ねむ女
散歩道木陰選ぶ薄暑かな えん白
○前髪の貼り付いてゐる子や薄暑 えこ
薄暑で半袖2割の若者が 風外
◎たどりたき道の白線薄暑かな 朋子
汗拭かずとんかつ食らふ薄暑かな 清流
二輪車の隊列長し薄暑かな たつみ
当季雑詠
今日の収穫プランターの絹莢 走波
まだ春の気配残して聖五月 走波
ストーブをかたし忘れて四月尽 六星
○柏餅手土産に来し友の杖 六星
青葉濃き絵画を飾る医院かな 愛幸
○ぎっしりとパズルのごとくさつき咲く 愛幸
○犬連れて暗き夜道に花茨 進
豆飯を炊く香りして足急ぐ 進
◎廃院の前に残され樟若葉 厚子
○駅員と陣取り合戦夏燕 厚子
○沿線の夏山膨れ上がりけり 茂樹
母の日に義母より海芋届きをり 茂樹
○初咲きのぼうたん供へ一周忌 ねむ女
魘(うな)されて起こされて朧月 ねむ女
葉桜を日傘がわりに足も軽く えん白
いちめんに広がる新緑朝のひかり えん白
ユンボらの仕事あがって夏の夕 えこ
安徳(あんとく)陵(りょう)の立木に遊ぶ夏の蝶 えこ

新茶には高値なものも並も有る 風外
花よりも色強きこと桐の花 風外
◎新緑や小さき山にも名前あり 朋子
おろしたて服の匂ひと牡丹の香 朋子
万緑や八剣神社の堤下 清流
背伸びする君靴下ろし青き踏む 清流
去る店と新規開店夏は来ぬ たつみ
○言葉より言葉にならぬ花水木 たつみ
(句会寸描)
*兼題の「薄暑」は、朋子さんが一位となった。雑詠は、厚子さんと朋子さんが一位を分け合った。兼題は、バラエティーに富んだ個性的な句が目についた。雑詠は、初夏らしい明るい句が多かった。
*兼題 「薄暑」
◎たどりたき道の白線薄暑かな 朋子
「薄暑」の句は、街の雰囲気などを詠んだものが数多く見受けられるが、この句は少し視線を落として足元へ目を向けたところに意外性があり、新鮮な響きが伝わってきた。
○前髪の貼り付いてゐる子や薄暑 えこ
公園などで元気よく遊んで汗ばんでいる子の様子が目に浮かぶ。ただ中七から下五にかけての句またがりには、少し無理があるような気がする。
*当季雑詠
◎廃院の前に残され樟若葉 厚子
町の人達に親しまれていた医院が閉じられていたところに、「樟若葉」が瑞々しい光を放っている姿が寂しく切ない。
◎新緑や小さき山にも名前あり 朋子
春までは、どの山も地味な色合いであるが、「新緑」の季節になると一気に鮮やかになる。大小を問わずそれぞれ特徴が出てきて、山の名前も気になるところである。
○柏餅手土産に来し友の杖 六星
端午の節句に、「柏餅」を携えてやってきた友の来訪を喜んでいる様子が伝わってくる。。
○ぎっしりとパズルのごとくさつき咲く 愛幸
中七の「パズルのごとく」は正に的を射た表現である。ぎっしりと咲いた「さつき」は、各地でこのように人々の目を楽しませてくれる。
○犬連れて暗き夜道に花茨 進
毎年のように太田川沿いには、この時季になると「花茨」は一斉に咲き乱れて「夜道」をも照らしてくれる。ただ中七の「暗き夜道に」は「暗き」を入れなくても「夜道」だけで十分伝わるので「土手」など他の言葉に置き換えた方が良いように思われる。
○駅員と陣取り合戦夏燕 厚子
駅では、よく燕の巣を目にするが、「夏燕」を擬人化したところが、何とも微笑ましい。
○沿線の夏山膨れ上がりけり 茂樹
広島から西条までの「沿線」の所々が、このような感じで迫力があった。
○初咲きのぼうたん供へ一周忌 ねむ女
上五の「初咲きの」という言葉から、作者の常に故人を思う気持ちが伝わってくる。

○言葉より言葉にならぬ花水木 たつみ
愛らしい「花水木」と作者の秘めた思いの取合せに興味がそそられる。
*次回予定
日時 六月五日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「短夜」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 六月四日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 六月五日(日)
選句締切 六月八日(水)
選句連絡先 茂樹まで
(茂樹 記)
おまけのアトム

選句用紙をぐちゃぐちゃにしてしまってゴメンナサイ。
ゴールデンウイークの最終日が句会となった。中丸寿絵さんの作品展の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、初めての中丸寿絵さん(俳号:えん白)と欠席投句の四名を含めて十三名となった。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「薄暑」
下校する子等の額に薄暑かな 走波
UVの化粧の小瓶薄暑かな 六星
検査後に寄るは薄暑の美術館 愛幸
フラミンゴ窓から覗く薄暑かな 進
飛び乗りて汗滲みたり薄暑かな 厚子
グランマ・モーゼズ展へ街薄暑 茂樹
順番を待つお好み焼き屋薄暑 ねむ女
散歩道木陰選ぶ薄暑かな えん白
○前髪の貼り付いてゐる子や薄暑 えこ
薄暑で半袖2割の若者が 風外
◎たどりたき道の白線薄暑かな 朋子
汗拭かずとんかつ食らふ薄暑かな 清流
二輪車の隊列長し薄暑かな たつみ
当季雑詠
今日の収穫プランターの絹莢 走波
まだ春の気配残して聖五月 走波
ストーブをかたし忘れて四月尽 六星
○柏餅手土産に来し友の杖 六星
青葉濃き絵画を飾る医院かな 愛幸
○ぎっしりとパズルのごとくさつき咲く 愛幸
○犬連れて暗き夜道に花茨 進
豆飯を炊く香りして足急ぐ 進
◎廃院の前に残され樟若葉 厚子
○駅員と陣取り合戦夏燕 厚子
○沿線の夏山膨れ上がりけり 茂樹
母の日に義母より海芋届きをり 茂樹
○初咲きのぼうたん供へ一周忌 ねむ女
魘(うな)されて起こされて朧月 ねむ女
葉桜を日傘がわりに足も軽く えん白
いちめんに広がる新緑朝のひかり えん白
ユンボらの仕事あがって夏の夕 えこ
安徳(あんとく)陵(りょう)の立木に遊ぶ夏の蝶 えこ

新茶には高値なものも並も有る 風外
花よりも色強きこと桐の花 風外
◎新緑や小さき山にも名前あり 朋子
おろしたて服の匂ひと牡丹の香 朋子
万緑や八剣神社の堤下 清流
背伸びする君靴下ろし青き踏む 清流
去る店と新規開店夏は来ぬ たつみ
○言葉より言葉にならぬ花水木 たつみ
(句会寸描)
*兼題の「薄暑」は、朋子さんが一位となった。雑詠は、厚子さんと朋子さんが一位を分け合った。兼題は、バラエティーに富んだ個性的な句が目についた。雑詠は、初夏らしい明るい句が多かった。
*兼題 「薄暑」
◎たどりたき道の白線薄暑かな 朋子
「薄暑」の句は、街の雰囲気などを詠んだものが数多く見受けられるが、この句は少し視線を落として足元へ目を向けたところに意外性があり、新鮮な響きが伝わってきた。
○前髪の貼り付いてゐる子や薄暑 えこ
公園などで元気よく遊んで汗ばんでいる子の様子が目に浮かぶ。ただ中七から下五にかけての句またがりには、少し無理があるような気がする。
*当季雑詠
◎廃院の前に残され樟若葉 厚子
町の人達に親しまれていた医院が閉じられていたところに、「樟若葉」が瑞々しい光を放っている姿が寂しく切ない。
◎新緑や小さき山にも名前あり 朋子
春までは、どの山も地味な色合いであるが、「新緑」の季節になると一気に鮮やかになる。大小を問わずそれぞれ特徴が出てきて、山の名前も気になるところである。
○柏餅手土産に来し友の杖 六星
端午の節句に、「柏餅」を携えてやってきた友の来訪を喜んでいる様子が伝わってくる。。
○ぎっしりとパズルのごとくさつき咲く 愛幸
中七の「パズルのごとく」は正に的を射た表現である。ぎっしりと咲いた「さつき」は、各地でこのように人々の目を楽しませてくれる。
○犬連れて暗き夜道に花茨 進
毎年のように太田川沿いには、この時季になると「花茨」は一斉に咲き乱れて「夜道」をも照らしてくれる。ただ中七の「暗き夜道に」は「暗き」を入れなくても「夜道」だけで十分伝わるので「土手」など他の言葉に置き換えた方が良いように思われる。
○駅員と陣取り合戦夏燕 厚子
駅では、よく燕の巣を目にするが、「夏燕」を擬人化したところが、何とも微笑ましい。
○沿線の夏山膨れ上がりけり 茂樹
広島から西条までの「沿線」の所々が、このような感じで迫力があった。
○初咲きのぼうたん供へ一周忌 ねむ女
上五の「初咲きの」という言葉から、作者の常に故人を思う気持ちが伝わってくる。

○言葉より言葉にならぬ花水木 たつみ
愛らしい「花水木」と作者の秘めた思いの取合せに興味がそそられる。
*次回予定
日時 六月五日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「短夜」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 六月四日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 六月五日(日)
選句締切 六月八日(水)
選句連絡先 茂樹まで
(茂樹 記)
おまけのアトム

選句用紙をぐちゃぐちゃにしてしまってゴメンナサイ。
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