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三月の俳句会 兼題「卒業」

2022年03月14日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第九十号(令和四年三月)

今年は、三月に入ってやっと梅が満開になった。山田恵さんの「がまぐち展」の会場をお借りして、いつものように十八時開始となった。参加者は、初参加の畠山清子さんと欠席投句で初参加の山田恵さん(俳号:清永)他五名を含めて十五名となった。

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(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
   (兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)


兼題 「卒業」

制服のボタンを留めて卒業す  厚子
門出れば吾(あ)は何者ぞ卒業歌  たつみ
卒業す今も懐かし下宿かな   進
校歌斉唱卒業式や時雨たり  六星
春の坂賑やか下る卒業生  啓太郎
○卒業の遠き学びの迷路かな  朋子
人生の卒業近し孫笑ふ  風外
先生に母紹介し卒業す  茂樹
弁当も送り迎へも卒業す  えこ
卒業期スカートは上昇気流  中中
よれた服ネクタイ締めて卒業す  清子
尊前にお剃刀受け卒業す  ねむ女
◎卒業の群れに消えゆく想い人   右京
主婦業を卒業したき歳となり  走波
コロナ禍で時短よろこぶ卒業生   清永


当季雑詠

鯛焼きの匂いが春の風にのり  厚子
無人駅風あたたかし列車来る  厚子
◎申告の書類重ねて春炬燵  たつみ
礼服の母の前過ぐ卒業式  たつみ
◎宅造地看板朽ちて土筆萌ゆ  進
夜も更けて音も静かに春の雨  進
ウクライナを去る人の手にネコヤナギ  六星
オオイヌノフグリの青や青き空  六星
南からツバメが春を聞きつけて  啓太郎
さあ春だ虫よ起きよと強い風  啓太郎
春の川さざ波残しSUP過ぐ  朋子
春めく日法事帰りのマックかな  朋子
木彫雛自分のために友が買う   風外
名作も色気もありて西行忌  風外
蛇穴を出でて絡まるトラロープ  茂樹
◎風光る少し蛇行の放水路  茂樹
財布手に昼食べに行く春日差  えこ
お絵かきや工作も並ぶ雛の壇  えこ
○膨らんでひび割って春モカマタリ  中中
花売りの春はみんなの春であり  中中
城堀に冬日差す金黒羽白   清子
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うらうらに頬杖ついてカフェテラス  清子
啓蟄の我も虫なり動き出す  ねむ女
春の宵御所人形のふくふくと  ねむ女
雛壇を仰ぐわが子の幸願う  右京
雨傘をじわりと濡らす春の雪  右京
散歩するギシギシ繁る川原を  走波
菜の花のレシピ教わる居酒屋で  走波
風香りこんな季節か沈丁花  清永
よもぎ摘み草餅づくりあこがれる  清永
      


                   
(句会寸描)


*兼題の「卒業」は、二人の争いとなり、右京さんが一位となった。雑詠は、大接戦の末、たつみさんと進さんと茂樹が一位を分け合った。今回は新しい方が二名入り、いつもにも増して活気のある句会となった。

*兼題「卒業」

◎卒業の群れに消えゆく想い人  右京
卒業までに告白できなかった片思いの人だろう。胸に秘めた熱い思いを抑えた「想い人」の表現が何とも切ない。

○卒業の遠き学びの迷路かな  朋子
卒業後のことを不安に思っているのであろうか。或いは、卒業してからこれまでのことを振り返っているのであろうか。中七の「遠き学びの」が今一つ分かりにくい。




*当季雑詠

◎申告の書類重ねて春炬燵  たつみ
申告書類の作成に悪戦苦闘している姿が思い浮かぶ。いかにもこの時季らしい様子が伺える。

◎宅造地看板朽ちて土筆萌ゆ  進
郊外に出るとよく目にする光景であるが、細やかなところまでよく観察されている。「土筆」もこういった場所に意外と多い。ただ下五の「土筆萌ゆ」の「萌ゆ」は、「土筆」自体にその意味も含まれているので要らないような気もする。

◎風光る少し蛇行の放水路  茂樹
広島を代表する太田川の放水路である。河口の先に見える厳島の姿も美しい。

○膨らんでひび割って春モカマタリ  中中
春らしさを感じる軽やかな句。植物が土から芽を出す感じと挽いた珈琲豆が泡立つ様子を上手く掛け合わせている。



*次回予定
日時 四月三日(日)十八時〜二十時 
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「蝶」一句と当季雑詠を二句 


※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。

投句締切 四月二日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 四月三日(日)
選句締切 四月六日(水)
選句連絡先 茂樹まで

   (茂樹 記)



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