冴返る 二月の俳句会便り
2021年02月12日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第七十七号(令和三年二月)
今回は、一階の作品展示準備の関係で、二階の六星さんのお部屋をお借りして句会を六時より始めることになった。参加者は、欠席投句の六名を含めて十二名となった。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「冴返る」
冴返る魚の槽の底の砂 中中
冴返るほうと息吐き一歩踏む えこ
背脂やニンニクラーメン冴え返る 六星
だみ声で可楽はぼそり冴えかへる 釜爺
忘れしとふと思ひこみ冴返る 茂樹
◎冴えかへる逢魔時に赤ちょうちん 厚子
◎教会の鐘の音遠く冴えかえる 走波
御影堂に畳四百冴返る ねむ女
「せーのー」で踏み出す廊下冴返る 朋子
体調のことじっと聞くだけ戻り寒 梢ゑ
○冴え返る日は事もなし猫ちぐら 進

冴返る男(おとこ)衆(し)だけの地鎮祭 麦
当季雑詠
吹けや鷽ちんどん爺の送り笛 中中
◎鉄窓の内にぬるりとヒヤシンス 中中
目を覚まし背伸びするかなシクラメン えこ
陽がさして来る疫病(えやみ)ふきとばせ東風 えこ
○お喋りな小鳥戯れ春隣 六星
梅香る三途の川を渡りきり 六星
ゆるゆると昼酒こなす遅き春 釜爺
欲しきもの暦のすきま雨二月 釜爺
水門にさざ波寄する日永かな 茂樹
○フリースロー二本とも決め春きざす 茂樹
通学の強き素足の春疾風 厚子
枝たわむ鳥(とり)弾ませて椿かな 厚子
春朝やゆで玉子むく今日もまた 走波
○放水路ゆったり満ちて春立ちぬ 走波
しゃっくりの止まらぬ赤子日脚伸ぶ ねむ女
朝夕の日課となりぬ寒灸 ねむ女
薄氷や吾子足踏みでパリパリと 朋子
水鳥のゆれる川面や春きざす 朋子
朝五時の冴ゆる満月ひとり占め 梢ゑ
風花や遊び足りなき児の髪に 梢ゑ
蕗の薹一つ見つけてまた一つ 進
犬連れて歩く小径に犬ふぐり 進
大寒や裂帛ひびく体育館 麦
冬木の芽おもはず背すじ伸ばしたる 麦

(句会寸描)
*兼題の「冴返る」は、特定の句に票が割れた末、厚子さんと走波さんが同点一位となった。雑詠は、頭一つ抜け出した中中さんが一位となった。雑詠では、季重なりの句が何句か見受けられた。投句する前に今一度確認したい。
◎冴えかへる逢魔時に赤ちょうちん 厚子
中七の「逢魔時に」がよく効いている。単純に「夕暮れどきに」といってしまえばありきたりだが、「冴えかへる」と妙に響き合って、臨場感が出ている。
◎教会の鐘の音遠く冴えかえる 走波
鐘の音が小さいながらも響き渡ってくるところに、辺りの静寂な雰囲気の中で寒さのぶり返しが、それとなく感じられる。
○冴え返る日は事もなし猫ちぐら 進
「猫ちぐら」とは、稲わらを編んで作った猫用の寝床のようだ。「冴え返る」と「猫ちぐら」の取合せが、何ともほのぼのとして面白い。
*当季雑詠
◎鉄窓の内にぬるりとヒヤシンス 中中
中七の中の「ぬるりと」の表現が独特だ。どこか冷たい感じのする「鉄窓」に対して、ぬるりとした感触の「ヒヤシンス」との対比が効いて、絵画の対象にもなりそうだ。
○お喋りな小鳥戯れ春隣 六星
にぎやかな春が近づいている様子が伝わってくる。ただ「小鳥」自体は秋の季語なので、俳句としてはちぐはぐな感じになっている。季語の取り扱いには十分に気をつけたい。
○フリースロー二本とも決め春きざす 茂樹
バスケットボールのフリースローは、簡単そうでなかなか決まらない。だから二本とも決まると観ている方も気持ちがよく、清々しい気分になれる。
○放水路ゆったり満ちて春立ちぬ 走波
中七の「ゆったり満ちて」が、これから春を迎える様子を過不足なく素直に表現している。
*次回予定
日時 三月七日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「春の鳥一切」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 三月六日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 三月七日(日)
選句締切 三月十日(水)
選句連絡先 茂樹まで
今回は、欠席投句の集計ミスがあり皆様に多大なご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。
(茂樹 記)

カモメ汚二階には面白い作品も多くて、こんなんして遊んだり・・・。笑

私事ですが、風外さんの友人の大統領(と私たちは呼んでいました。)が旅立たれ追悼句を詠ませていただきました。
犬が好きな方でした。


吹けや鷽ちんどん爺の送り笛 中中
梅香る三途の川を渡りきり 六星
今回は、一階の作品展示準備の関係で、二階の六星さんのお部屋をお借りして句会を六時より始めることになった。参加者は、欠席投句の六名を含めて十二名となった。

(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(兼題は清記順に列記 雑詠も兼題の清記順に列記)
兼題 「冴返る」
冴返る魚の槽の底の砂 中中
冴返るほうと息吐き一歩踏む えこ
背脂やニンニクラーメン冴え返る 六星
だみ声で可楽はぼそり冴えかへる 釜爺
忘れしとふと思ひこみ冴返る 茂樹
◎冴えかへる逢魔時に赤ちょうちん 厚子
◎教会の鐘の音遠く冴えかえる 走波
御影堂に畳四百冴返る ねむ女
「せーのー」で踏み出す廊下冴返る 朋子
体調のことじっと聞くだけ戻り寒 梢ゑ
○冴え返る日は事もなし猫ちぐら 進

冴返る男(おとこ)衆(し)だけの地鎮祭 麦
当季雑詠
吹けや鷽ちんどん爺の送り笛 中中
◎鉄窓の内にぬるりとヒヤシンス 中中
目を覚まし背伸びするかなシクラメン えこ
陽がさして来る疫病(えやみ)ふきとばせ東風 えこ
○お喋りな小鳥戯れ春隣 六星
梅香る三途の川を渡りきり 六星
ゆるゆると昼酒こなす遅き春 釜爺
欲しきもの暦のすきま雨二月 釜爺
水門にさざ波寄する日永かな 茂樹
○フリースロー二本とも決め春きざす 茂樹
通学の強き素足の春疾風 厚子
枝たわむ鳥(とり)弾ませて椿かな 厚子
春朝やゆで玉子むく今日もまた 走波
○放水路ゆったり満ちて春立ちぬ 走波
しゃっくりの止まらぬ赤子日脚伸ぶ ねむ女
朝夕の日課となりぬ寒灸 ねむ女
薄氷や吾子足踏みでパリパリと 朋子
水鳥のゆれる川面や春きざす 朋子
朝五時の冴ゆる満月ひとり占め 梢ゑ
風花や遊び足りなき児の髪に 梢ゑ
蕗の薹一つ見つけてまた一つ 進
犬連れて歩く小径に犬ふぐり 進
大寒や裂帛ひびく体育館 麦
冬木の芽おもはず背すじ伸ばしたる 麦

(句会寸描)
*兼題の「冴返る」は、特定の句に票が割れた末、厚子さんと走波さんが同点一位となった。雑詠は、頭一つ抜け出した中中さんが一位となった。雑詠では、季重なりの句が何句か見受けられた。投句する前に今一度確認したい。
◎冴えかへる逢魔時に赤ちょうちん 厚子
中七の「逢魔時に」がよく効いている。単純に「夕暮れどきに」といってしまえばありきたりだが、「冴えかへる」と妙に響き合って、臨場感が出ている。
◎教会の鐘の音遠く冴えかえる 走波
鐘の音が小さいながらも響き渡ってくるところに、辺りの静寂な雰囲気の中で寒さのぶり返しが、それとなく感じられる。
○冴え返る日は事もなし猫ちぐら 進
「猫ちぐら」とは、稲わらを編んで作った猫用の寝床のようだ。「冴え返る」と「猫ちぐら」の取合せが、何ともほのぼのとして面白い。
*当季雑詠
◎鉄窓の内にぬるりとヒヤシンス 中中
中七の中の「ぬるりと」の表現が独特だ。どこか冷たい感じのする「鉄窓」に対して、ぬるりとした感触の「ヒヤシンス」との対比が効いて、絵画の対象にもなりそうだ。
○お喋りな小鳥戯れ春隣 六星
にぎやかな春が近づいている様子が伝わってくる。ただ「小鳥」自体は秋の季語なので、俳句としてはちぐはぐな感じになっている。季語の取り扱いには十分に気をつけたい。
○フリースロー二本とも決め春きざす 茂樹
バスケットボールのフリースローは、簡単そうでなかなか決まらない。だから二本とも決まると観ている方も気持ちがよく、清々しい気分になれる。
○放水路ゆったり満ちて春立ちぬ 走波
中七の「ゆったり満ちて」が、これから春を迎える様子を過不足なく素直に表現している。
*次回予定
日時 三月七日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「春の鳥一切」一句と当季雑詠を二句
※新型コロナウイルスの状況次第では、通信句会とします。
投句締切 三月六日(土)
投句先 茂樹または六星さん
清記公表 三月七日(日)
選句締切 三月十日(水)
選句連絡先 茂樹まで
今回は、欠席投句の集計ミスがあり皆様に多大なご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。
(茂樹 記)

カモメ汚二階には面白い作品も多くて、こんなんして遊んだり・・・。笑





私事ですが、風外さんの友人の大統領(と私たちは呼んでいました。)が旅立たれ追悼句を詠ませていただきました。
犬が好きな方でした。


吹けや鷽ちんどん爺の送り笛 中中
梅香る三途の川を渡りきり 六星
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