2018年の句会納め
2018年12月25日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報第五十二号(平成三十年十二月)
十二月二日(日)、まるで山陰を思わせるような時雨模様の天気になった。JUNKO MIURAさんの個展会場をお借りして、欠席投句の、新治さん、りう子さんを含めて十三名の参加者で六時開始となった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(清記逆順列記)

席題 「金」
枯かずら黄金山を滑り落つ 華院
年の瀬の募金の声や早口に 朋子
黄金に輝く夢の有馬記念 厚子
金箔の舞う見る正月の台所 えこ
金色の尾を引く冬の火球かな 六星

年の瀬は金と時間が早送り 風外
金さんの刺青映ゆるや冬の雷 下駄麿
金曜の塾帰りの子等寒雀 たつみ
◎冴ゆる日の金管楽器の音高し 走波
金屏の前に寿ぐひと日かな ねむ女
○年の瀬やあてなく金座街歩く 茂樹
当季雑詠
霜月や袖の薄さに足早む 華院
冬の夕シャッター切れば烏鳴く 華院
初霜や前髪切りし吾子の頬 朋子
木枯や空家の窓の虚ろかな 朋子
はっとする溜飲下げる年の暮 厚子
売出しの輪に入れずに冬雀 厚子
あの歌は灯油販売車冬来たる えこ
○小夜時雨湯にひざかかへゐて追ひ焚きす えこ
口笛のポロネーズ聴く小春日や 六星
ふうわりと手に消えゆくや初雪の 六星
柿落葉枝にも柿が淋しそう 風外
冬散歩遠近法の街灯が 風外
マフラアをかき寄せ打出し太鼓かな 下駄麿
鮟鱇を間に主(ある)人(じ)手の止まず 下駄麿
河豚食うて生まれ来る子の話する たつみ
(熊本にて)漱石の通ひし書店冬ぬくし たつみ
くちびるに木の器ふれ冬ぬくし 走波
初霜や手をグーにして米を研ぎ 走波
そよと揺れ山門くぐる綿帽子 ねむ女
氷上にプーさんの雨降るは降るは ねむ女

えんぴつの長さまちまち年の暮 茂樹
しぐるるやいつの間にやら納め句座 茂樹
雨音とまがうばかりの竹の春 りう子
ピラカンサ千両万両なぜ赤い りう子
席詰めて笑顔近づく忘年会 新治
◎しぐるるや切手一枚買ふ用事 新治
(句会寸描)
*席題の「金」は、走波さんが僅差で一位となり、雑詠は欠席投句の新治さんが、先月の走波さんを抜いて、句会始まって以来の最高得点(七点)で一位となった。席題の方は、選が偏ることなく分散した。それに比べ雑詠の方は、新治さんの句が何と六割以上の選が集まり、他の句はすっかりかすんでしまった。全体的には、中七の字余りが多かったのが気になった。
*席題 「金」
◎冴ゆる日の金管楽器の音高し 走波
情景がよく見えて、この季節らしい雰囲気も伝わってくる。ただ、中七の「金管楽器の」と八音になり、リズムが悪くなったのが、惜しまれる。
○年の瀬やあてなく金座街歩く 茂樹
選者の弁によると独身者のように見られたようである。中七と下五を「あてなく歩く金座街」と倒置してしまった方が、収まりとしてはよかったかもしれない。
*当季雑詠
◎しぐるるや切手一枚買ふ用事 新治
一見何も関係なさそうな取り合わせであるが、天気次第で出かけようか出かけまいか、迷っているような雰囲気もあり、どことなく物語を感じる。一方で、まとまりすぎていて、インパクトに乏しいとの声も出た。
○小夜時雨湯にひざかかへゐて追い炊きす えこ
少し温めの湯で、湯の量も半分程度と思われる。「湯にひざかかへゐて」で寒そうな雰囲気が伝わってくる。ただ、中七の「ひざかかへゐて」と九音の字余りになっているので、「ゐて」は不要のように思われる。「ひざ」は「膝」にした方が良いとの声も出た。
*次回予定
日時 一月六日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「恵方」一句と当季雑詠を二句
(茂樹 記)
おまけの新治くん(ひろしま口笛倶楽部所属です)

おおさか口笛音楽コンクール4位入賞! (前列左端)
おめでとうございます!!
十二月二日(日)、まるで山陰を思わせるような時雨模様の天気になった。JUNKO MIURAさんの個展会場をお借りして、欠席投句の、新治さん、りう子さんを含めて十三名の参加者で六時開始となった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)
(清記逆順列記)

席題 「金」
枯かずら黄金山を滑り落つ 華院
年の瀬の募金の声や早口に 朋子
黄金に輝く夢の有馬記念 厚子
金箔の舞う見る正月の台所 えこ
金色の尾を引く冬の火球かな 六星

年の瀬は金と時間が早送り 風外
金さんの刺青映ゆるや冬の雷 下駄麿
金曜の塾帰りの子等寒雀 たつみ
◎冴ゆる日の金管楽器の音高し 走波
金屏の前に寿ぐひと日かな ねむ女
○年の瀬やあてなく金座街歩く 茂樹
当季雑詠
霜月や袖の薄さに足早む 華院
冬の夕シャッター切れば烏鳴く 華院
初霜や前髪切りし吾子の頬 朋子
木枯や空家の窓の虚ろかな 朋子
はっとする溜飲下げる年の暮 厚子
売出しの輪に入れずに冬雀 厚子
あの歌は灯油販売車冬来たる えこ
○小夜時雨湯にひざかかへゐて追ひ焚きす えこ
口笛のポロネーズ聴く小春日や 六星
ふうわりと手に消えゆくや初雪の 六星
柿落葉枝にも柿が淋しそう 風外
冬散歩遠近法の街灯が 風外
マフラアをかき寄せ打出し太鼓かな 下駄麿
鮟鱇を間に主(ある)人(じ)手の止まず 下駄麿
河豚食うて生まれ来る子の話する たつみ
(熊本にて)漱石の通ひし書店冬ぬくし たつみ
くちびるに木の器ふれ冬ぬくし 走波
初霜や手をグーにして米を研ぎ 走波
そよと揺れ山門くぐる綿帽子 ねむ女
氷上にプーさんの雨降るは降るは ねむ女

えんぴつの長さまちまち年の暮 茂樹
しぐるるやいつの間にやら納め句座 茂樹
雨音とまがうばかりの竹の春 りう子
ピラカンサ千両万両なぜ赤い りう子
席詰めて笑顔近づく忘年会 新治
◎しぐるるや切手一枚買ふ用事 新治
(句会寸描)
*席題の「金」は、走波さんが僅差で一位となり、雑詠は欠席投句の新治さんが、先月の走波さんを抜いて、句会始まって以来の最高得点(七点)で一位となった。席題の方は、選が偏ることなく分散した。それに比べ雑詠の方は、新治さんの句が何と六割以上の選が集まり、他の句はすっかりかすんでしまった。全体的には、中七の字余りが多かったのが気になった。
*席題 「金」
◎冴ゆる日の金管楽器の音高し 走波
情景がよく見えて、この季節らしい雰囲気も伝わってくる。ただ、中七の「金管楽器の」と八音になり、リズムが悪くなったのが、惜しまれる。
○年の瀬やあてなく金座街歩く 茂樹
選者の弁によると独身者のように見られたようである。中七と下五を「あてなく歩く金座街」と倒置してしまった方が、収まりとしてはよかったかもしれない。
*当季雑詠
◎しぐるるや切手一枚買ふ用事 新治
一見何も関係なさそうな取り合わせであるが、天気次第で出かけようか出かけまいか、迷っているような雰囲気もあり、どことなく物語を感じる。一方で、まとまりすぎていて、インパクトに乏しいとの声も出た。
○小夜時雨湯にひざかかへゐて追い炊きす えこ
少し温めの湯で、湯の量も半分程度と思われる。「湯にひざかかへゐて」で寒そうな雰囲気が伝わってくる。ただ、中七の「ひざかかへゐて」と九音の字余りになっているので、「ゐて」は不要のように思われる。「ひざ」は「膝」にした方が良いとの声も出た。
*次回予定
日時 一月六日(日)十八時〜二十時
場所 カモメのばぁばぁ
投句 兼題「恵方」一句と当季雑詠を二句
(茂樹 記)
おまけの新治くん(ひろしま口笛倶楽部所属です)

おおさか口笛音楽コンクール4位入賞! (前列左端)

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