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茂樹さんの句会報、七月。

2017年07月07日
カモメのばぁばぁ「夜の美術館」句会報 第三十五号(平成二十九年七月)

七月二日(日)、梅雨明けが待ち遠しいが今日もぐずついた天気となった。moji展の会場をお借りして、関東から久しぶりの参加となったりう子さんを含め十二名(うち、かかしさんは欠席投句)の参加者で六時過ぎに、いつものように始まった。
(◎印は高点句、◯印は次点句 ○○○は原句修正箇所)

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席題「夕」     (清記逆順列記)

夕焼けやジブリのごとき筆運び      華院
湯上がりの浴衣の君の夕化粧       幸音
たどり着き夕暮れ文月風通る       咲華
〇夕凪や大の字になるネコのへそ      六星
夕虹は仏縁深き半円形          風外
◎夕ざれて二合ばかりと冷奴        下駄麿
〇夕餉まで噴井にあそぶ瓜トマト      麦
夕凪の風を待ちをるヨットマン      走波
夕凪の耐えがたき想ひに叫び出す     りう子
◎夕虹は仕舞ひ忘れし神の櫛        志路
○夕張へ黄のハンカチを携へて       茂樹
                               

雑詠(晩夏)

ひと思ひあまく弾けるトマトかな     華院
清らかな小川に浸けたトマトの赤     幸音
葉を広げ白い羽根つけ半夏生       咲華
打ち上がれ材木港の夏夜空        六星
刺あたり青山椒に香見る         風外
まとまらぬ芋のガレット梅雨じめり    下駄麿
真中に星いだきたる牽牛花        麦
夏の野菜パッチワークとワンディッシュ  走波
旅先の空気重たし晩夏光         りう子
◎砂日傘罪なき浜を突き刺しぬ       志路
○向日葵の咲き初み我が家向いてゐる    茂樹
額の花里を想ひて色を染む        かかし


      (句会寸描)

*席題「夕」は志路さんと下駄麿さんが一位を分け合った。雑詠「晩夏」は志路さんの圧勝となり、まさに志路さんの独壇場となった。高点句などは、いずれも物に託すか、作者なりのひねりを加えて表現しているのに対して、それ以外の句は報告や説明調の句や感情移入し過ぎている句が目立った。言わぬが花と申しますが、感情を抑えて物に託した、ただの報告に終わらないひねりの効いた句を心掛けたい。


*席題「夕」

◎夕ざれて二合ばかりと冷奴        下駄麿
無駄なことは一切言わず、「二号ばかりと冷奴」で冷奴を肴にちびちびと酒を飲んでいる男の姿が目に浮かぶ。上五の「夕ざれて」も仕事帰りの一段落している様子が伝わってきて効果的である。

◎夕虹は仕舞ひ忘れし神の櫛        志路
この作者は当句会の若手であるが、名乗りを聞いて一同驚きの声が上がった。三十分そこそこの短い時間に「夕虹」を「仕舞ひ忘れし神の櫛」と捉えたのは日頃の鍛錬の賜物であろう。今後の益々の活躍を期待したい。


〇夕凪や大の字になるネコのへそ      六星
 「大の字になるネコのへそ」という大げさな表現が「夕凪」とよく絡み合って雰囲気がにじみ出ている。ユーモラスな情景も目に浮かぶ。ただ、「ネコのへそ」の「ネコ」は漢字の「猫」にしたい。

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〇夕餉まで噴井にあそぶ瓜トマト      麦
 「夕」という題から「噴井」という季語を見つけ出したのは、作者の感性であろう。「噴井」の中で冷やされている瑞々しい瓜やトマトの様子がよく伝わってくる。季重なりではあるが、あくまで「噴井」の方が主体であるので気にならない。

○夕張へ黄のハンカチを携えて       茂樹
 「夕張」という地名を持ってきて「黄のハンカチ」と取り合わせが、あの「幸福の黄色いハンカチ」を連想させるが、かえって常套的でありきたりな感じがする。

*雑詠(晩夏)

◎砂日傘罪なき浜を突き刺しぬ       志路
 ぱっとみて、あの石原裕次郎の「錆びたナイフ」を思い出した。ビーチパラソルを作者なりに詩情を交えて大胆に詠んでいるが、感情に走り過ぎている感もある。

○向日葵の咲き初み我が家向いてゐる    茂樹
 「向日葵」は、その漢字から太陽の向きに合わせて首を振っている感じがするが、実際のところはほぼ同じ方向を向いている。そんな向日葵が偶然にも、我が家を向いていたのが不思議でもあり、嬉しくもなった。



*次回予定
 日時 八月六日(日)十八時~二十時 
 場所 カモメのばぁばぁ
 投句 兼題「盆一切」と雑詠(初秋)を一句ずつ
 
                   (茂樹 記)



七月も楽しい句会でした。
どなたでもご参加ください。
会費 200円と1ドリンクオーダー400円をお願いします。

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